欧州強豪を追い詰めたラグビー日本代表 「日本人の良さが出ている」戦い方
FW、BK一体となった見事なトライ
新生日本代表の魅力が存分に発揮されたWTB福岡のトライ 【斉藤健仁】
だが、14分、この試合で一番のトライが生まれる。キックオフからのボールを日本代表がターンオーバーし、ボールを継続。FWを「1−3−3−1」で配置する4ポッド(4つのユニット。ポッドはもともとラインアウト用語で魚の群れという意味が語源)でテンポ良く攻撃。最後は、ジョージア戦同様、HO堀江翔太を経由することで相手の出足を止めて、素早くクイックハンズでHO堀江、SO田村、CTBティモシー・ラファエレ、FLマルジーン・イラウアとつないで、最後はWTB福岡堅樹が左隅にトライを挙げて20対24と再び4点差に追い上げた。
ミッドフィールドの「相撲」と呼ばれるFWの6人がスペースを作り出し、ブラウンコーチがBK陣に対して毎回練習を課している素早いボール捌きを試合で見せることができたのは収穫になったはずだ。
終盤にアンストラクチャーからの攻撃で追いつく
後半33分に同点につながるトライを奪ったWTBロトアヘア 【斉藤健仁】
マフィはライン際でゲインし、相手のタックルを受けながらも花園大の同級生だった、途中出場のWTBアマナキ・ロトアヘアにパス。トップリーグで大活躍しているロトアヘアは相手をステップでかわしてインゴールにボールを運び、30対30の同点に追いついた。
10月11日、ジェイミージャパン初練習で、ブラウンコーチの下、最初に行った練習がアンストラクチャーからのアタックであり、新生日本代表ではエディージャパンが4年目になってやっと取り組みだした「アンストラクチャーから、しっかり組織的にアタックする」ラグビーも、最初から武器の一つに掲げていたのだ。
惜敗も世界のラグビーファンにインパクトを与える
カウンター、ライン参加で突破力の高さを見せつけたFB松島 【斉藤健仁】
昨年に続く金星を挙げることができなかったことは非常に残念だが、ジェイミージャパンが「ラグビーの都」とも言われる目が肥えたカーディフの大観衆、そして世界のラグビーファンに大きなインパクトを与えたことは間違いない。
田中「可能性がすごく上がった」
惜しくも敗れたが、ジェイミージャパンにとって自信をつかんだ試合となった 【斉藤健仁】
そしてジョセフHCは「新しいジャパンは(スローガンでもある)『ONE TEAM』となっていいスタートを切れた。当初は、代表辞退選手が多くて残念でしたが、それを払拭できるような新しいチームが作れたと思います」と、ここまでの3試合を振り返った。
勝てなかったものの、このウェールズ戦は、2019年W杯を目指して戦うジェイミージャパンにとって大きな自信、そしてターニングポイントになったに違いない。