伝統や経験、監督の采配を考察する JリーグCS出場3クラブをデータで分析

 データスタジアム社協力のもと、Jリーグチャンピオンシップ(CS)をデータで分析する本企画。CSに出場する浦和レッズ、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズについて、ピッチ上のデータを分析した前回に引き続き、今回はピッチ外のデータにも注目してみたい。クラブの伝統や選手の経験、または監督にも目を向け、いろいろな観点でCSのデータを見てみよう。

浦和と鹿島に優勝を阻まれてきた川崎

2016年の年間順位はCSの結果によって変動する可能性もある 【データおよび画像提供:データスタジアム】

 まずは3クラブの年度別年間成績から。Jリーグが誕生した1993年から安定した成績を残しているのが鹿島だ。96年に初優勝を飾ると、その後も基本的にブラジル人監督のもと「4−4−2」をベースとしたスタイルを継続して、年間王者にリーグ最多となる7回輝いている。2007年から3連覇を達成して以来、リーグタイトルからは遠ざかっているが、石井正忠監督は鹿島で選手として1回、コーチとして3回優勝を経験済み。就任2年目となる今季は監督として初の、そしてチームとしては通算8回目の優勝を狙う。

 3クラブの中で最も上下動が激しいのが浦和だ。99年にはJ2降格を経験し、06年にはギド・ブッフバルト監督のもとリーグ優勝を果たした。その後も11年には最終節で残留を決めるなど成績がなかなか安定しなかったが、12年にミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任して以降は「3−4−2−1」をベースとした一貫したチーム作りで上位を維持している。それでもわずかにタイトルに届かない日々が続いていたが、今年はYBCルヴァンカップを制して9年ぶりとなるタイトルを獲得。就任5季目となるミシャ(ペトロヴィッチ監督の愛称)のもと、クラブ2回目のリーグタイトル獲得を目指す。

 99年にJリーグへ参入した川崎はこれまでリーグ2位を3度経験しているがタイトルはなし。06年は浦和、08、09年はいずれも鹿島に優勝を阻まれており、今年のCSを争う2クラブとの因縁を感じさせる。12年途中に就任して以降、攻撃的なスタイルを貫いてきた風間八宏監督のもと、悲願のタイトル獲得なるか。

J1優勝経験者が多いのは浦和

【データおよび画像提供:データスタジアム】

 次に選手たちのキャリアに着目。3クラブの現所属選手について、当時の所属クラブは問わず、過去にJ1の優勝経験があるかを調べてみた。最も多いのは浦和の7人。10年前のリーグ初制覇に貢献した平川忠亮と大谷幸輝(当時はユース所属、06年のリーグ戦に1試合出場)に加え、他クラブで優勝を経験した選手が多いのが特徴だ。

 優勝経験者の「数」では浦和におよばない鹿島だが、それぞれ6回ずつ優勝を経験している小笠原満男と曽ヶ端準の両ベテランを擁する。特に小笠原は01年のCS第2戦でVゴールとなる直接FKを決めるなど実績も十分だ。クラブの伝統とタイトルの重みを知る男たちが今年のCSでも勝負強さを発揮するか。

 川崎は10年に名古屋グランパスに所属していた橋本晃司のみとJ1優勝経験では2クラブに劣る。しかし、今季加入したGKチョン・ソンリョンは城南FC時代の10年にACL(AFCチャンピオンズリーグ)で頂点まで登り詰めた。アジアを制した守護神の経験値に期待がかかる。

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