伝統や経験、監督の采配を考察する JリーグCS出場3クラブをデータで分析

風間監督は交代カードを切るのが早い

風間監督(左)は1枚目の交代カードを切るタイミングが早い 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 最後に、監督の選手交代の傾向にも触れておきたい。途中出場した選手がゴールまたはアシストした数を合計すると、今年のCSに出場する3クラブがJ1上位を占める(鹿島が14、浦和が13、川崎が12でガンバ大阪と同率3位)。監督の采配がピッチ内に大きな影響を与えているのだ。

 今シーズンのJ1で監督が最初に交代選手を入れる平均時間は60.1分。ペトロヴィッチ監督(60.4分)と石井監督(61.0分)はほぼ平均的な時間だが、風間監督は54.9分とリーグで2番目に早いタイミングで交代のカードを切る。相手より先に動いたケースが34試合中21試合で、積極的に動いて試合展開に変化を加えてくる可能性が他の監督よりも高い。

 3枚の交代カードを使い切るのが早いのはペトロヴィッチ監督で、平均77.9分はリーグ1位だ。リーグ平均が83.0分に対し、石井監督は85.5分(16位)、風間監督は85.9分(17位)で他の監督よりも最後のカードを手元に残しておく傾向が強い。

3クラブの交代で出場する可能性が高い選手は?

ペトロヴィッチ監督(右)はCSでどんな交代カードを切るのか 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 交代で出場する選手を具体的に見ていくと、浦和で最も多いのはボランチの青木拓矢で23試合、FWのズラタンが21試合で、梅崎司(13試合)と駒井善成(12試合)のサイドの選手がそれに続く。ズラタンの今季4ゴールはすべて途中出場で「75分〜試合終了」までの時間帯に奪っている。終盤に得点がほしい場面でズラタンを投入するのが、ペトロヴィッチ監督が採る常とう手段だ。

 川崎は武岡優斗の15試合が最多で、中野嘉大(14試合)、三好康児(11試合)、森本貴幸(10試合)までが二桁出場。途中出場から2得点2アシストを記録している森本が試合を動かすかもしれない。

 鹿島は途中出場数が二桁を超えているのが鈴木優磨(22試合)と永木亮太(16試合)のみ。鈴木が途中出場から3得点1アシストを挙げており、石井監督が切り札として起用する機会が多い。

 3人の指揮官はシーズン中と同じ傾向で選手をピッチに送りだすのか。または異なる奇策を用いるのか――。そんなことを予測しながらピッチ外の動きにも注目してほしい。

(グラフィックデザイン:相河俊介、文:豊田真大/スポーツナビ)

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