打倒・青山学院大に必要な要素は? 駒大OB神屋氏が全日本大学駅伝を解説

構成:スポーツナビ
 学生3大駅伝の第2戦、第48回全日本大学駅伝が6日、愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までの全8区間、全長106.8キロのコースで行われ、青山学院大が5時間15分15秒で初優勝を飾り、今シーズン二冠目を獲得した。

 青山学院大は1区で8位に沈んだものの、2区で一時先頭を奪う。その後は早稲田大に先行を許したものの、最終8区でエース・一色恭志(4年)が逆転。昨年は東洋大に敗れて涙したが、その経験をバネに磐石の強さを見せての初制覇となった。

 今回のレースについて駒澤大の元エースで、現在は東京経済大学駅伝監督の神屋伸行氏に、レースのポイントや来年1月の箱根駅伝に向けた展望を聞いた。

早稲田大が青山学院大を焦らせた

アンカーの一色恭志が大逆転劇を演じ、青山学院大が全日本初制覇 【写真は共同】

――青山学院大が全日本大学駅伝初優勝を飾りました。今回のレースを振り返って。

 やはりレース当日以前の戦力が、青山学院大は層が厚く、他校に対して優位な位置に立っていたと思います。エースの一色選手をアンカーに置けて、調子の良い選手を中心にオーダーを組んだとしても、大きく戦力がダウンしないという強さがありました。(今年の)箱根駅伝の時に原監督が言われていたと思いますが、「調子が良ければ誰を使っても勝てる」と、そういうことはほかの大学ではなかなかできないことです。
 駒澤大で言えば中谷圭佑選手が外れたらその代わりになる選手はおらず、東海大で言えば關(せき)颯人選手。ビッグネームが外れた時に代わりができる選手がいるという状況は、普通はなかなかありません。

――今回の勝因については、選手層の厚さが一番の要因だと?

 そうですね。一色選手が確実にアンカーでいるということと、選手層の厚さの2点が、他校を圧倒したと思います。

――青山学院大としては2区で一時先頭に立ちましたが、最終区までは早稲田大に先行される展開でもありました。このレース展開については?

 今回、青山学院大はかなり焦っていたと思います。レース自体は、前半に突っ込んで、後半に失速してしまうということを繰り返していました。ただ戦力的に頭一つ抜けていたので勝てたと思うのですが、むしろ早稲田大が完ぺきなレース運びで青山学院大を焦らせるだけのレースを見せて面白くしたという印象です。
 早稲田大が青山学院大の心をかき乱して、少し不確定要素を加えていったのが、早稲田大の快走につながりました。

――早稲田大が青山学院大を追い込んだ要因は?

 相楽豊監督も言っていましたが、「(チームの)調子がいい」と。出雲駅伝は失敗(8位)に終わったのですが、それを取り返すべくコンディションを合わせてきて、井戸浩貴選手が外れたことは気になったのですが、それ以外の部分ではしっかり走れていましたし、出雲で失速してしまった平和真選手も2区できっちり走れていました。何よりも4区の永山博基選手が、あそこで流れを自分たちのものにしていたので、そういったレースができたのは大きいですね。

 一方で東洋大は(2区の)櫻岡駿選手のところで、前に行く予定が順位を下げてしまったので、そこが誤算だったのではと思います。そういう意味では、流れをつかめたチームと、前半に思うようにいかなかったチームの差が出たと思います。

――レースの流れをつかむ1区、2区というのがポイントだった?

 そうですね。やはり青山学院大という巨大な戦力に対して、どう戦うかを考えた時に、各大学とも1区、2区を相当意識して選手を置いていました。その区間で流れをつかめた大学と、そうでない大学の差が出てしまいました。

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