ピッチ内外で問題だらけのアルゼンチン W杯予選敗退が現実味を帯び始める
10月の連戦で勝ち点1しか確保できず
10月の連戦で、アルゼンチンは勝ち点1しか獲得できなかった 【写真:ロイター/アフロ】
10月のW杯予選にて、アルゼンチンは南米のライバルの中では“弱者”とされる2チームから勝ち点1しか確保することができなかった(アウェーでペルーと2−2の引き分け、ホームのパラグアイ戦は0−1で敗戦)。8試合を残した現在の順位は4勝2敗4分けの勝ち点16で10チーム中5位。つまり現時点では大陸間プレーオフに回ることしかできない位置にいる。しかもすぐ下にはパラグアイが勝ち点1、チリが同2差でつけている。
すでにペルー、ボリビア(ともに勝ち点8)、ベネズエラ(勝ち点2)の3チームがほぼ脱落している現在、18年のW杯ロシア大会の出場権争いは残る7チームで5つの枠を争う状況と言える。その中でも、勝ち点21の首位ブラジルと同20で2位のウルグアイは頭一つ抜けている。
安定のウルグアイ、調子を上げたブラジル
一方、スタートでつまずいたブラジルはドゥンガが監督が復帰した当初から常に懐疑的な目で見られてきた。だがアルゼンチンと同じくコパ・アメリカ後に監督を代え、多くのファンから待望されていた人気者のチッチが後任に就任。以降はリオデジャネイロ五輪で実現した同国史上初の金メダル獲得がもたらしたポジティブな流れを生かし、失っていた自信と流れるようなプレーを取り戻した。
その間にはリーダーとしてチームを引っ張るネイマール以外にも、レナト・アウグストやフィリペ・コウチーニョ、若きストライカーのガブリエル・ジェススらが新たな中心選手として台頭してきている。
混乱をもたらしている正常化委員会
中でも最も深刻であり、その他の問題の元凶にもなっているアルゼンチンフットボール協会(AFA)は、完全に方向性を見失った状態にある。現在AFAはFIFA(国際サッカー連盟)の介入を受け、外部から送り込まれた4人の人物で構成される正常化委員会が実質的な運営を代行している。だが、この委員会が適切な決断を下しておらず、選手たちを大いに混乱させているのだ。
例えば同委員会は各年代のユース代表監督の選考に手間取った末、ラシン・クラブのリザーブチームの監督を務めていたクラウディオ・ウベダをU−20代表監督に任命したが、元々彼は委員会が作った候補リストにも入っていなかった。
しかも監督が決まったのはU−20W杯への出場権が懸かった南米選手権が始まるわずか3カ月前のことだった。アルゼンチン代表の重鎮の1人であるハビエル・マスチェラーノは以前、03年に自身がユース代表に呼ばれた際、南米選手権へ向けた準備は2年間かけて行われていたと言っていただけに、これは異常事態である。
こうした混乱をもたらしている正常化委員会は、17年の6月30日にAFAの役員選挙を行うことを約束している。言い換えれば、この混乱がそれまでは続くわけだ。このような状況を選手たちが快く思っているはずがなく、すでにコパ・アメリカ・センテナリオの開催中からツイッターなどを通して不満の声が挙がっていた。