ロッテ下剋上の鍵は「1回表の攻撃」 短期決戦を知り尽くす指揮官に聞く

千葉ロッテマリーンズ

ファンに向けてCSへの意気込みを語る伊東監督 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 今季のペナントレースで3位に入った千葉ロッテ。2年連続のAクラス入りは球団史上31年ぶりのことだ。しかし、クライマックスシリーズ(CS)出場を決めた一方、伊東勤監督の表情は曇っていた。

「CSに出られることが一つの逃げ道のようになっていますが、われわれとしては3位ではなく、一番上を狙いにいっているわけで……。結果としてAクラスに入れたのはいいことだけど、勝負師としては納得していないというのが正直なところですね」

 レギュラーシーズンの143試合を戦い終え、72勝68敗3分けの3位。2位・福岡ソフトバンクには12.5ゲーム差。優勝した北海道日本ハムには15ゲーム差。この差が指揮官の表情をさらに険しくする。

「上位2チームには大差をつけられました。屈辱的というか、悔しい思いでいっぱいですよ」

 10月8日からはファーストステージでソフトバンクと対戦する。敵地・ヤフオクドームで最大3試合を行い、先に2勝したチームがファイナルステージへ進む。ファイナルステージでは日本ハムに1勝のアドバンテージが与えられるが、ファーストステージにおいてそのようなルールは存在しない。ソフトバンクとの今季の対戦成績は8勝16敗1分け。大きく負け越している相手だが、ファーストステージの勝負はここからの3試合で決する。

 伊東監督は西武時代、選手として13度日本シリーズに出場。監督としては西武時代に3度(2004年、05年、06年)、ロッテでも2度(13年、15年)、ポストシーズンの指揮を執った。このように短期決戦を知り尽くす指揮官は語る。

「レギュラーシーズンで分が悪くても、短期決戦では一つの流れが勝負を左右する。その流れをいかにつかむか、ですね」

打線に求めるのは「粘り」

首位打者のタイトルを獲得した角中(写真)へどうつなげるかがポイントになる 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 伊東監督は、ソフトバンクとのファーストステージで流れをつかむためのポイントを2つ挙げた。

 一つ目は、打線の粘りだ。

「レギュラーシーズンでは、相手投手陣の力のある球を打てなかった。それをどう攻略するか」と伊東監督は言う。

 特に警戒する投手が千賀滉大だ。ロッテ打線は150キロを超える速球とフォークが武器の背番号41を苦手としている。千賀がロッテ戦で先発したのは7試合で、投手成績は4勝0敗、防御率2.36。QS(クオリティー・スタート。先発投手が6イニング以上投げ、自責点3以内に抑えること)の達成率は85.7%と、完全に抑え込まれてしまった。伊東監督はその要因を分析する。

「フォークを意識し過ぎているのでしょうね。打者のほうが、初球から追い込まれてしまっているような感じがする。カウントを取りにくる直球を打たないといけないのに、手が出ていない。考えすぎて、打てる球を見逃してしまったり、打ち損じてしまったりしています」

 そんな中で、打率3割3分9厘で4年ぶり2度目の首位打者に輝いた角中勝也は、千賀に対して同3割3分3厘(21打数7安打)をマークしている。3番を打つ角中にいかにつなぐかが、カギとなりそうだ。

「走者のいる状況で角中を打席に送りたい。1、2番がどうにか出塁してほしい。特に大事になってくるのが1回表の攻撃。1回表に1番打者が出塁すれば、相手も慌てる。得点のチャンスも出てくるでしょう」

 伊東監督は12年10月にロッテの監督に就任して以来、打線に「粘り」を求めてきた。簡単に凡退するのではなく、相手投手に1球でも多く投げさせる。その1球が、後でボディブローのように効いてくる。

「ソフトバンク、日本ハムは高い完成度で作り上げられた、隙のないチーム。そこに立ち向かっていくために、打者にはしつこい粘りを期待したいですね。同じアウトになるにしても、1球でも多く投げさせればチャンスが来る。ずっと言い続けていることですが、今まで以上に意識してほしい」

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