ロッテ下剋上の鍵は「1回表の攻撃」 短期決戦を知り尽くす指揮官に聞く
投手陣に手応えアリ
防御率のタイトルを獲得した石川を軸にソフトバンク打線に立ち向かう 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】
ソフトバンク打線は、ロッテ戦でチーム打率2割7分5厘、23本塁打、121打点をマークしている。中でも要注意なのが柳田悠岐だ。ロッテ戦の打撃成績は打率3割6分6厘、5本塁打、21打点。右手薬指の骨折で戦列を離れていたが、ファーストステージ出場に向け、みやざきフェニックス・リーグで実戦復帰を果たしている。ロッテ戦で好成績を残しているのは、他に中村晃(同3割2分6厘、1本塁打、12打点)、内川聖一(同3割1分1厘、3本塁打、16打点)。この3人は特に警戒しなければならない。
シーズン序盤はリリーフ陣がロッテの好調を支えていた。ところが、6月末までに26試合に登板、防御率1.42をマークしていた内竜也が右肘痛で7月2日に一軍登録を外れるなど、故障者が続出。しかし、内は9月2日に再登録されたほか、藤岡貴裕、大谷智久、西野勇士も戦列に戻った。また、9月上旬に右肘の張りを訴えた益田直也も大事に至らずに済んだ。シーズン終盤に入りリリーフ陣の顔ぶれがそろったことで、伊東監督は表情を少し緩める。
「良い勝負ができると手応えを感じています。短期決戦なので、長いイニングを引っ張る必要はない。良い投手をどんどん投入していくつもりです」
今季14勝を挙げ、防御率2.16で最優秀防御率のタイトルを獲得した石川歩はソフトバンク戦で1勝3敗と負け越すも、QSを逃したのは一度だけ。10勝をマークしたエース・涌井秀章も2勝2敗の五分ながらQS率は62.5%と、先発陣はソフトバンクを相手に試合を作っている。
先発陣が踏ん張り、終盤はリリーフ陣がつないで締めくくる。そんな試合展開が期待できそうだ。
まずはソフトバンクとの戦いに集中
「ソフトバンク戦に全力で臨みます。先を見据えて戦う余裕はありません。目先の試合にこだわっていくしかない。向こうは、ウチは相性の良い相手だと思っているでしょう。そこに付け入る隙がある。ウチはチャレンジャースピリットを前面に押し出していきます」
ロッテは10年に史上初めてレギュラーシーズン3位から勝ち上がり、日本シリーズを制している。再びの下剋上へ向け、指揮官は意気込みを語る。
「先手必勝。先に流れや勢いをつかんだ方が勝つ。初戦がすべてを握っているつもりで戦いたい」
10月3日、チームは本拠地・QVCマリンフィールドで全体練習を実施した。バッティング練習では、速球対策として打撃投手が普段よりも少し前から投げた球を打ち返した。各打者はティー打撃で目いっぱいバットを振ってからゲージに入り、初球からフルスイング。球場には快音が響いていた。「とにかくストライクを1球目から仕留めるため」と伊東監督は説明する。
4日、5日の東北楽天戦に連勝し、最高の形でレギュラーシーズンを終えた。いざ、福岡へ。下剋上の準備は整っている。