車いすラグビー、継承された戦略的プレー ベテラン・島川が銅メダルに思うこと
チーム全員でつかんだ銅メダル
悲願の銅メダルを獲得した日本。チームは歓喜に沸いた 【写真:ロイター/アフロ】
予選を2勝1敗の2位で通過した日本は、準決勝で今大会優勝したオーストラリアに完敗。日本は3位決定戦に臨んだ。相手のカナダは、比較的障がいが軽いザック・マデルを中心に得点を重ねるチーム。日本はそのザックの動きを先に読んだポジション取りと、2人3人とかぶせるディフェンスで、相手の攻撃のチャンスを封じた。第1ピリオドにはエース・池崎大輔(三菱商事)と池透暢(日興アセットマネジメント)のスピードを生かした攻撃で得点を重ね、また若山英史(愛康会あしたかケアセンター)と今井友明(三菱商事)の2人がゴール前を冷静に守り、4点差をつけた。第3ピリオドには、粘るカナダに連続得点を奪われ2点差まで追いあげられるが、日本は最後まで落ち着いて対応。最終ピリオドも圧力をかけてくる相手のディフェンスを華麗にかわし、リードを守り抜いた。
ベースを作ったカナダ人コーチ
エースの池崎(写真)、池を生かしたハイローラインを中心に、臨機応変にラインを入れ替えた 【写真:伊藤真吾/アフロ】
池の高さと池崎のスピードを最大限に生かすハイローラインを最強のファーストラインとし、試合展開に応じて臨機応変にラインを入れ替えていく。今大会、決勝に進んだオーストラリアと米国には敗れたが、パラリンピックで「三強」の一角であるカナダを破り、これまでの努力が間違いでないことを証明できた。
こうしたチームのベースを作ったのが、カナダ代表のアシスタントコーチを務めた経験を持つアダム・フロスト氏だ。ロンドン大会の翌年に日本代表に招へいされたアダム氏は、まず基礎的なスキルから立て直した上で、これまでのような感覚的なプレーではなく、選手の特性を生かせる戦略的なプレーを選手に植え付けた。現在の荻野晃一ヘッドコーチ、三阪洋行アシスタントコーチが就任してからもその精神は受け継がれ、選手としても活躍した2人の経験をもとにしたプランをそこに加味。世界に通用する日本代表を作り上げたのだ。