車いすラグビー、継承された戦略的プレー ベテラン・島川が銅メダルに思うこと
日本の成長を支え続けたベテラン・島川
4大会連続出場となる島川。チームでの役割は変わっても、勝利への強い意志は今も昔も変わらない 【写真:アフロスポーツ】
その間、島川はウィルチェアーラグビーの本場・米国に活動の場を広げ、強豪の「フェニックス・ヒート」と「テキサス・スタンピード」の一員として活動。チームの大黒柱として活躍した。帰国後はその経験を生かし、北京大会でメダル獲得を狙ったが、厚い壁に跳ね返された(7位)。リベンジを誓ったロンドン大会、日本は「メダル候補」と言われるまでに成長したが、島川は直前の日本選手権で試合中に指を切断する事故に遭う。入院生活の末、なんとか本番には間に合わせたものの、終始満足いくプレーができなかった(結果は4位)。
不完全燃焼のリベンジを果たすべく臨んだ、今回のリオ大会。これまでとは役割も変化した。爆発的な得点力を生かす攻撃の要としての起用というより、途中出場して試合の流れを変え、相手にインパクトを与えて次のラインにつなぐことが使命。難しい仕事だが、経験と持ち前のスピードを発揮して相手をかき回した。ただ、当たりの強い米国戦などでは「相手のプレッシャーに押されて機能しなかった」と反省を口にしたが、勝利への強い意志は昔も今も同じだ。
「やっぱ悔しいって思ったわ」
チームの歴史を知る島川(手前)と三阪アシスタントコーチは抱き合い、喜びを分かち合った 【写真:アフロスポーツ】
試合直後は、「うれしいし、ほっとした」と話していた島川。表彰式から戻ってくると、銅メダルを触りながら、こう言った。
「1位のところに並ぶオーストラリアを見ててさぁ、やっぱ悔しいって思ったわ」
チームの歴史を知る男は、この経験をもとに東京への物語を紡いでいく。