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山本美憂、総合デビューを決めた理由
「悩んで心配してもプラスにならない」
「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント開幕戦」でMMAデビューする山本美憂に独占インタビュー
「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント開幕戦」でMMAデビューする山本美憂に独占インタビュー【長谷川亮】

 サプライズとなる「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント開幕戦」(9月25日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)でのMMAデビュー発表に続き、その対戦相手がRENAとなったレスリング元世界女王の山本美憂。MMA挑戦の経緯を改めて語り、注目するMMAファイター、さらに試合へ向け練習を積む強力パートナーの存在を語った。

五輪挑戦の練習を無駄にしたくなかった

MMA参戦に関して「迷っている時間はもったいない」と、まずは取り組むことから始めた
MMA参戦に関して「迷っている時間はもったいない」と、まずは取り組むことから始めた【長谷川亮】

――去年の5月、息子のアーセンさんがレスリングの試合で帰国した際、お話を聞いたのですが(2015年5月18日掲載コラム「美憂が語る“山本家”の食生活 最強アスリート一家を育てた鍋料理」)、その時はまだ美憂さんはおろか、アーセンさんにもMMA挑戦の話はありませんでしたから、1年3カ月で急展開ですね。


 ほんとそうですよね(笑)。たしかにそう考えるとバババッって状況が変わってますけど、本人たちはとにかく毎日トレーニングトレーニングで、覚えることもたくさんあるのであまりゆっくり振り返っていられないんです。お話をもらって「大丈夫かな?」っていう思いはちょっとあったんですけど、そうやって迷っている時間はもったいないし、とりあえず始めようと思いました。

――リオ五輪へ向けカナダでトレーニングをしてきて、体はできているし「もったいない」と思ったことがMMA挑戦の理由の1つだと参戦発表の会見でお話されていましたね。


 はい、レスリング復帰の時にも悩んでいた時期があったんですけど、やらないで悩んでいてもその時間がもったいないじゃないですか? 迷うっていうのは、やりたいけど不安があるっていうことだと思うから、その不安を解消するにはやってみないと分からない。こういう考え方だから失敗もいっぱいあるんですけど、これが自分の生き方だと思っています。失敗があったら、そこから何か学べばいい。父にも「何でもトライする」っていう風に育てられてきました。


――ここ数年、拠点にされてきたカナダでの生活について教えてください。


 2011年6月から向こうで生活しています。朝はバスケやバレーボールとかいろんな競技の子たちと走ったりウェイトだったり体作りのトレーニング。地元にクラブチームがあって、午後はそこでレスリングをやっています。


――若い他競技の選手たちとの合同トレーニングでも、美憂さんがむしろ引っ張ってトレーニングを行っていたそうですね。


 体幹を使った種目や、階段とかをバンバン飛ぶようなトレーニングは負けなかったし、みんなより私が上で引っ張っていました。そうやって五輪へ向けてトレーニングを積んできて、それがダメになったからってやってきたことを無駄にしたくなかったんです。

カナダに行ってからMMAの試合を見ている

――MMAのトレーニングはRIZIN出場が決まり、日本に戻ってから始めたのでしょうか。


 向こうでもほんの気持ち程度ですけどやっていたんです。弟(山本“KID”徳郁)を納得させるためにビデオに撮って送りつけたりして、やる気があるところを見せておきました(笑)。そうしたら最初は「やめておけ」って言われていたんですけど、その後一度話す機会があったときに日本へおいでって言ってくれて。今は朝練からやって、まず技の反復と走ったりウェイトだったりの体作り。昼過ぎからタイのコーチが来て練習して、それが終わるとまた技の反復。それから日替わりのシチュエーション練習で今日はこれをやってとか、弟がメニューを考えてやってくれています。練習はすごくキツくて毎日ついていくのが大変ですけど、最初にあった「何をしたらいいんだろう?」っていう迷子のような状態はなくなってきました。これを試合まで続けていけば、リングへ上がる時には自信が持てるかなと思います。


――KID選手の試合以外もMMAはご覧になることがあったのですか?


 日本にいる時は弟の試合しか観なかったんですけど、カナダに行ってからはたまにいろんな人の試合を観ていました。最近だとベラトールのマイケル・ペイジっていう選手がすごく面白いっていうか、スゴいなって思いました。もうキックとかパンチがいろいろ出て、おもちゃ箱みたいな感じの選手なんです(※現在11戦11勝、うち7つがKO、3つが一本による勝利で注目、期待されている)。あとボクシングを見るのは好きで、中でもマイク・タイソンとナジーム・ハメドはずっと好きです。MMAはまだ自分のレベルがそこまで行ってないから、自分がどんな風になるかとかは全然分からないです(笑)。


――女子MMAの試合はご覧になりますか?


 ロンダ・ラウジーとホーリー・ホルムの試合は見ましたし、(クリスチャン・)サイボーグは好きです。あの人のインスタグラムとかを見ていると、トレーニングを一生懸命頑張っているところとかを載せていて。みんなをインスパイアしているところ、影響を与えているところがスゴいな、偉いなと思うし、プロだなと思います。あの人の試合を見るのは好きです。

超負けず嫌い同士のライカと練習

今はすごくいい練習ができていると話す山本美憂。「リングに上がったらやるしかない」と全力で勝利に向かっていく
今はすごくいい練習ができていると話す山本美憂。「リングに上がったらやるしかない」と全力で勝利に向かっていく【長谷川亮】

――注目のデビュー戦の相手がRENA選手に決まりましたが、これから試合まではどのような練習を?


 今すごくいい練習ができていて、毎日ライカ(元プロボクサー。14年からは総合格闘技などに挑戦)が来てくれて一緒にやっているんです。今はもうチームメイトっていう感じでパンチも教えてくれるし、私は逆にタックルがきた時の守りを教えるとか、そうやって自分にない部分をお互いが持っているからすごく勉強になります。しかもお互い同じような年齢で、超負けず嫌いだし(笑)。ライカとは昔からすごく仲がよかったんですけど、あっちはボクシングで私はレスリングだから今まではまったく別々だったんです。でも、「やっと一緒になったね」とか言って。


――では、以前から交流があったのですね。


 はい。ライカの試合は大好きで、よく観に行っていました。だから最初の練習の時は、もう2人で練習前に大笑いをして(笑)。これまで一緒に練習なんてなかったからすごく楽しいです。ただ本当に2人とも超負けず嫌いだから、練習の時は「軽く」と言われてやっても、気がつくともう激しくなっているんですけど(笑)。でも、ライカは教える感じでやってくれてすごく勉強になります。


――ライカ選手のMMAの試合はご覧になっていますか?


 こないだ中井りんさんに負けちゃいましたけど、ボクシングの時のすごいパンチを出す前に終わっちゃって、活かせてないと思います。やっぱりパンチを思いっきり出したいけど、タックルが来たり組みつかれたりっていうのがあるから、ここで一緒に練習してライカが自分のパンチを思いっきり出せるよう、自分の持ち味をちゃんと出す試合ができるよう、私も手伝えることがあったらしていきたいです。


――RENA選手との対戦が決まった美憂選手にとっても、ライカ選手との練習、そして存在は心強いものですね。


 ここまで来たらやるしかないです。「もうちょっとしか時間がない」って心配するより、毎日しっかり練習をやっていって、リングに上がったらやるしかないと思ってます。そうやって悩んで心配していてもプラスになることって1つもないし、とにかく勝つしかないです。

長谷川亮

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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