【RIZIN】MMA2戦目に臨む山本アーセン「勝利で『本物だな』って証明する」
MMA2戦目に臨む山本アーセンにインタビュー 【スポーツナビ】
昨年末の「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015」で総合格闘技デビューを果たした山本アーセン。祖父はミュンヘン五輪に出場した山本郁榮、母は世界選手権で数度の優勝経験を持つ山本美憂、叔母は世界選手権4度優勝の山本聖子、叔父は総合格闘家山本“KID”徳郁という、レスリング界にその名を轟かす“山本一族”の遺伝子を受け継ぐ。自身も17歳にしてレスリング世界カデット選手権優勝を果たし、日本レスリング協会2020年ターゲット選手にも選出された。総合デビュー戦では“グレイシー一族”の系譜を継ぐクロン・グレイシーと対戦し、1ラウンドで敗れたものの、打撃でも寝技でもその高い順応力を示した。
MMA2戦目となる今回は才賀紀左衛門との対戦となる。空手出身ながら総合でも能力の高さを見せる才賀と、どんな戦いになるか注目が集まる。
今回は山本アーセンにインタビューし、試合に向けての意気込みなどを聞いた。
虎の穴「KRAZYBEE」でバチバチ練習
年末の試合ではクロン・グレイシーに敗れたものの、適応力の高さを見せ付けたアーセン(左) 【中原義史】
今回は国内でバチバチ練習をやらせてもらっています。(練習内容は)自分ができることから、今やらないといけないことまですべてやっています。のりさん(コーチを務める山本“KID”徳郁)もそう思っているから、今は打撃も寝技もすべて取り入れています。
――練習の内容はアマレスの時とは違いますか?
全然違いますよね。練習量は倍近くになっています。
――打撃練習はどうですか?
もちろん基礎からやっているので。そのあたりも大丈夫です。
――総合格闘技の練習は、アマレスの延長に近い部分はありますか?
延長なわけないじゃないですか! じゃないとここまでできないし、やっぱり違うスポーツとしてやっていますよ。
――どんな相手と一緒に練習していますか?
のりさんがコーチで、相手は「KRAZY BEE」(山本“KID”徳郁が主宰する総合格闘技ジム)の皆様。やばい人たちしかいないので、虎の穴みたいな(笑)。
――レベルの高い相手と練習しているのですね。ついていくのが大変じゃないですか?
もちろんいっぱいいっぱいですね。というか、レスリングの時もいっぱいいっぱいでしたし。やっぱり自分より下の相手とはやりたくないので。
――ではいつかはそういう練習相手を越えてやろうと?
もちろんもちろん。いつでもスパーリングでぶっ倒そうと思っているし。それはリスペクトがあってこそのぶっ飛ばしたいですけどね。
才賀戦に不安はない
対戦する才賀に対しては「不安はない」と話す 【スポーツナビ】
力は違いますよね。でも日本の方がテクニックが豊富。作戦の立て方や動き、距離の測り方とか、すべてに対して日本の方が上回っているイメージがありますね。ただ向こうの方がどっしりしている感じです。
――今回、対戦相手が才賀選手となりますが、やはり年末のクロン・グレイシー選手とは日本人相手ということで対策も変わってくる感じですか?
それは外国人だから日本人だからというわけでなく、選手個人個人の違いですね。一人ひとりの違いは国によって独特な動きやテクニックがあるわけじゃないので。今回は才賀くんのことしか頭に入ってないです。
――対戦相手の才賀選手についてですが、元々空手出身ということで立ち技が強いイメージですが、年末の試合では総合でも高い適応力を見せていました。才賀選手についてはどんなイメージを持っていますか?
バランスがすごくいいですね。(総合の試合も)うまいと思います。でも、それを上回る練習をしているので、別に不安ではないです。
――立ち技についてはどうですか? 付き合って上回りたいとかありますか?
臨機応変にですね。勝つために試合をやっているわけで、相手に合わせたいわけではないので。自分が勝てる方法を選びたいです。グラウンドの方が確率が高いのであればそうするし、でも打撃練習も自分なりに自信がついているから、グラウンドだけでなく、少し立ち技でもダメージが与えられるような動きもしたいし。そんな感じですね。
――才賀選手が相手だから試合前から寝技狙いというわけでもなく、試合の中で対応していくと?
そこは作戦ですね。僕たちのチームが、才賀くんとの試合に向けて立てる作戦をやるだけ。だからこそ、臨機応変に。どういう風に試合が転がっても、勝てるように組み立ててやっていく感じです。
試合の目的は「勝つこと」
見ました。ダメダメなところばっかりでした。
――特に目に付いた点は?
スタンドですね。自分が攻めきれていないところ。自分がやりたいことができていなかったし、悔しい思いもしました。(次の試合では)ミスしたことはちゃんと直していきたいです。ただ、いつも勝つ気持ちでいるので、答えはシンプルで、勝ちに行くだけです。
――勝ち方の理想はない?
もちろんKO勝ちは気持ちいいと思いますけど、自分の中では、勝利が最優先ですね。
――アーセン選手にとってはKO勝ちも判定勝ちも同じ価値?
勝ちは勝ちなので。スポーツというのは勝ち負けの世界ですから。もちろん自分の中で、勝つことと同時にお客さんが盛り上がるということが2つのテーマで、両方をクリアできれば100点だと思っています。
――そういう考えが形成されたのは、やはりご家族の戦いなどを見ているからですか?
もちろんのりさんは憧れですけど、プロのスポーツ選手をやっている限り、その2つのテーマを持っていない選手はいないと思うんです。
――スポーツ選手である以上、勝利と会場を盛り上げる試合というのを突き詰めたいと?
そうですね。
また「やばい試合」をするのでお楽しみに!
勝利という結果で、「本物」であることを証明する 【スポーツナビ】
いえ、特には。(年末の)試合が終わって、それまで試合に向けて3カ月間バチバチやっていた練習が急になくなったので、ちょっと寂しいなという気持ちはありました。まあでも、自分からもう一回やりたいというのではなく、(次の試合の)きっかけを待っていたという感じでした。背中をポンと押されるのを待っていたというか、(9月の参戦は)いいタイミングで榊原(信行実行委員長)さんに「もう1回どう?」と言われたので、「やります!」と決めました。
――きっかけがあればいつでもやるつもりだったと?
そうでしたね。
――前回の試合前にも集中して練習していたと思いますが、そういう時間が一番楽しい感じですか?
正直、練習が楽しいと思うことはあんまりないです。練習を楽しいと思っちゃったら、自分を追い込んでいないわけだし、自分は「辛い。もう止めたい」と思うことが、追い込んでいる証拠なんで。
追い込んでいる中で、それが何のためにやっているかを考えて、試合に勝つためにやっているんだと。それで試合が終わった時に楽しさが分かるという感じです。それはレスリングの時もそうだったし、格闘技の初戦の時もそうでした。(試合に負けて)全然だめで悔しいけど、終わってみたら面白かったなと思うので。
――今回も試合後にそんな気持ちになれればいいと、練習を追い込んでいると。
そうですね。
――それでは最後に、9月の試合ではどんな試合をファンに見せたいですか?
やっぱり「アーセンって本物だな」って思わせる試合を、勝利することで証明したいですね。あれはまぐれじゃなかったんだと。2試合目ですごい試合をして勝って、証明したいです。
――会場に来てくれるファンにメッセージをお願いします。
またアーセンくんがやばい試合をするので、楽しみにしていて下さい!
(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)
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