【RIZIN】ヴァンダレイはミルコとの決着を熱望 「彼の態度はリスペクトを欠いていた」

スポーツナビ

「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント」参戦が決まったヴァンダレイにインタビュー 【スポーツナビ】

 総合格闘技イベント「RIZIN」の「RIZIN FIGHTING WORLD GP 2016 無差別級トーナメント開幕戦」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ)が9月25日(日)に開催される。

 今年4月の「RIZIN.1」(愛知・日本ガイシホール)でグラップリングマッチながら現役復帰を果たしたヴァンダレイ・シウバ。「日本の格闘技をもう一度盛り上げたい」と話す“親日家”ファイターは、ほぼ2年ぶりのリングで、上々の動きを見せた。

 本格的なMMA復帰はグランプリ出場からとなっていたが、過去の実績や、5月に交通事故にあってしまったことも考慮され1回戦はシード。12月29日(木)の2回戦からの出場が決まった。

 今回は来日中だったヴァンダレイにインタビューし、グランプリに懸ける意気込みなどを聞いた。

日本の格闘技界が盛り上がることが最優先

久しぶりのリングとなった「RIZIN.1」では、上々の動きができたと話す 【(C)RIZIN FF/Sachiko Hotaka】

――4月の「RIZIN.1」でグラップリングながらリング復帰。その試合では桜庭和志選手、所英男選手と戦ったが、コンディションはどうだったか?

 体を動かし始めてから時間も経っていたので、非常に体が動きました。気分もすごく良かったです。

――自分の力を出し切れた?

 いいえ、当然出し切ったと言うつもりはないし、全て見せられたとも思っていません。ただ、体を動かし始めて、これからという時点にしては、良いスタートが切れたと思っています。

――RIZINのリングは、PRIDE時代と比べて会場の雰囲気などはどうだったか?

 とても居心地が良く、雰囲気も最高でした。言うならば、私の人生の設計をしてくれたのが(PRIDEの)あのリングなので、あのリングがなければ今の自分はない。世界一のプロモーターである榊原(信行)さんのもとでまた復活し、試合ができたことは非常にうれしいことです。PRIDEはいつでも世界一の団体だと思っていたので、今回はRIZINで復活し、PRIDEよりもより大きな組織になると思っています。

――前回、4月の大会前に話を聞いた時は、「日本の格闘技を盛り上げるために戻ってきた」と話していたが、その気持ちは変わらないか?

 榊原さんが大会をやらなくなってから、日本の格闘技界の衰退が目に見えて感じ取られて、非常に心苦しく感じていました。それが今、こうやって榊原さんがもう一度格闘技界でRIZINという大会をやってくれることが、本当にうれしいです。UFCに出場し、日本でブライアン・スタンと戦ったとき(2013年3月)も、どこで戦っていようとも、やはり日本だなと思いました。お客さんのサポートもそうだし、雰囲気もそうです。そして4月の大会を終えても、日本でもっと試合をしたいと思いました。

 今、私が計画しているのが、RIZINをもっと広めたいということ。ブラジルから始めて、各国の強い人たちを選ぶRIZINセレクションシリーズを行い、選ばれた選手を日本に連れてくるというような企画を立てたいです。私にできるのはまずはブラジルですが、いずれはこの動きが世界に広がって、いわゆるワールドカップみたいなものをやれたらいいですね。

――ファイターとしてだけでなく、RIZINのために仕事をしていきたいと?

 とにかく日本で格闘技界が盛り上がることを最優先に考えています。それには新しい選手が必要なんです。そのために、各国にRIZINを代表するような選手がいて、その選手たちが全土にわたって若い選手たちを発掘する。「ヴァンダレイがもらったようなチャンスを、誰でも平等にもらえる権利はあるはずだ」と。ただ単にコネクションがあるからRIZINに参戦できるというのではなく、どんな選手にもチャンスが与えられるような仕組みにして、みんなに競わせるというのが良いのではないかと思っています。

交通事故によるケガからは順調に回復

――グランプリについて。9月はシード選手となったが、実際は1回戦を戦いたかった?

 当然、9月から戦いたかった。なぜならば、同じグランプリに出るなら、みんな同じ条件でやるのがフェアだからです。私だけシードをもらって戦うというのは、あまり本意ではありません。ただ、交通事故にあってしまい、9月に試合をするというのが難しい状況だったので、12月からの参戦となりました。

――今話があった交通事故についてだが、ファンも心配しているところだが、具体的にはどの部分を負傷したのか?

 状況としては自転車に乗っていたら、左後ろから車が来て直接ひざに当てられました。そして右の前方に倒れ、右の肩を打ってしまいました。そのため、左ひざと右肩をケガして、両方とも手術をしました。今は順調に回復しています。ですから回復も早いし、12月には全然問題なく戦えます。

――現在、トレーニングは何をしているか?

 今までは常に体を動かしていました。ウェイトトレーニングとか、長距離のウォーキングをしたり、水泳をしたり。そして今回ブラジルに戻ってからは、スパーリングや打撃の練習を始めていこうと思います。

――9月の大会には会場に来て、ほかの選手を見るつもりか?

 間違いなく会場に来て、どの選手が勝ち上がるか、見極めたいと思っています。

常にビッグファイトをしていきたい

記者会見ではミルコ(左から3番目)との再戦を熱望していると明言した 【スポーツナビ】

――16日の記者会見では、ミルコ・クロコップ選手にライバル心を燃やしていたのが印象的だった。やはり、ミルコ選手との再戦を熱望しているか?

 できることなら自分の1回目の試合で戦いたい。彼とは2回試合をしているのですが、1回目はドロー判定(02年4月)でしたが、私が絶対に勝っていました。2回目は、彼が勝ちました(06年9月)。そういうことで3回目は白黒はっきり付けたいのと、しっかり倒して勝ちたいです。

――2回目の試合以降かなり時間が経っているが、それでもずっと気になっていたのか?

 ミルコとの試合に関してはずっと心に残っていて、そのリベンジは必ずしたいと思っていました。彼が私に勝った時、試合後の態度も敗者に対してリスペクトを欠いていました。私はそういう態度を尊敬しないですし、やり返してやりたいと思っています。

――彼との決着を日本でつけたいと?

 そうですね。日本で、このトーナメントで是非つけたいです。

――4月の大会では桜庭選手、今回はミルコ選手と戦う可能性もあるのだが、そのような昔戦った選手と再戦することには、どういう感情があるか?

 やはり自分が試合をするならば、それぞれの試合がビッグファイトであることが重要で、そういう試合をしたいと思っています。サクラバもそうだし、ミルコもですが、世界のトップ選手であり、試合が組まれたら盛り上がります。そういう盛り上がるファイトを私はしていきたいと思っています。世界のトップ選手たちに挑み続けたいです。

RIZINをファンと一緒に世界一に

ファンと一緒にRIZINを世界一にしていきたいと話すヴァンダレイ 【スポーツナビ】

――若手選手との戦いに興味はあるか?

 RIZINに出場してくる選手だったら、名前はなくとも、ここに出場できるぐらいの実力はあるし、やるからには当然、勝つつもりで挑んでくると思います。そういう若くて勢いのある選手に対し、自分が対応できるかというのも非常にいいテストになると思います。どちらにしても、誰とやってもタフな選手たちとの試合になると思うので楽しみです。

――若手選手で言うと、母国ブラジルで期待している選手はいるか?

 ブラジルには特にたくさん、ダイヤの原石のような選手がいます。先程話したように、RIZINのセレクションシリーズというのを行い、是非そういった選手たちを探したいと思っています。今はセミナーでブラジル中を旅しているのですが、その度に名前は分からないけれども、ポテンシャルの高い選手がたくさんいます。私の考えとしては、ブラジルもそうですし、南アメリカ全体でセレクションシリーズをやっていきたいです。そうして、ポテンシャルのある選手たちをセレクションし、その頂点の選手を選んでいきたいです。

――やはり数年前よりも競技レベルは上がっているのか?

 間違いなく競技人口というのは増えていて、PRIDEが非常に大きな役割を担っていました。当時、MMAというのはアンダーグラウンドという感じがあり、競技人口は限られていたのですが、ただPRIDEに私が出場し、ファイターとして成功できるのだということが、ブラジルの子供に大きな希望を与えたと思います。そういうチャンスを手に入れるため、競技人口が増えたと思います。

――最後にグランプリでは日本のファンにどんな戦いを見せたいか?

 今までで最高のヴァンダレイ・シウバをお見せできるようにベストを尽くします。
 また、日本ファンへお願いがあります。榊原さんが(格闘技界に)戻ってきましたが、これをみんなで再び盛り上げていってもらいたいと思います。榊原さんは榊原さんの仕事を、私は私の仕事をします。ですから、ファンの皆様には、ファンの皆様としての仕事をしてもらって、一緒に大きくなりたい。ファンの人たちにお願いしたいのは、SNSなどで情報を拡散し、大会があるならそれを紹介していき、RIZINの告知をみんなで大きくしてほしいということです。またテレビで放送されるなら、是非見てもらいたい。世界一のファン、世界一のチームを持っているところが世界一になれるので、是非みんなで、一緒に上を目指しましょう。

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)
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