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韓国人選手がイチローに抱く感情
尊敬、驚き、誇り、そして…

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第2回WBCでイチローと対戦する奉重根(左)
第2回WBCでイチローと対戦する奉重根(左)【写真は共同】

 MLB史上30人目となる通算3000安打を達成したイチローは韓国の選手にとってもスーパースターだ。彼らにイチローについて尋ねると言葉を惜しまない。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でイチローと同じグラウンドに立ったことがある選手は「光栄だ」と話し、対戦経験のある選手はその瞬間を細かく覚えている。

イチローを尊敬し同じ51を背負う

 その中でも特に強い思い入れを持つ選手が、2009年の第2回WBCで日本戦に3度先発し、2勝を挙げたサウスポーの奉重根(ポン・ジュングン/LG)だ。


「僕は高校時代、背番号51の外野手で同じ左打者としてイチロー選手をとても尊敬していました。イチロー選手には国を越えて魅力を感じているので、今でも51番を着けています」


 奉重根はブレーブス(02年、03年)とレッズ(04年)でMLBを経験しているが、その時にはイチローと対戦する機会はなかった。しかし03年6月、シアトルでのマリナーズ戦でイチローと言葉を交わしている。イチローに挨拶をしに行ったのだ。


「僕はイチロー選手に憧れて51番をつけています」


 それを聞いたイチローは奉重根にサインボールを2個プレゼントしたという。


 09年のWBC、奉重根は先発投手としてイチローと初めて対戦する時がやってきた。

 3月9日、東京ドームでの1次ラウンド決勝戦。韓国はこの2日前、日本に2−14で7回コールド負けしている。奉重根は「この流れを変えるためには、1番打者のイチロー選手を抑えるしかない」と打席に入るイチローの姿を頭の中で何度も再生するイメージトレーニングを繰り返し、登板に臨んだ。


「尊敬する相手なのに抑えなければいけないという不思議な感覚でした」


 奉重根はその時の対戦をそう振り返る。この試合ではセカンドゴロ、ファーストゴロ、ピッチャーゴロとイチローを完全に封じ、韓国が1−0で勝利。予選を1位通過した。

室井昌也
室井昌也
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。またWBCでは公式プログラムの執筆や中継局の情報提供を担当している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。