イチローとカブス監督のユニークな関係性 シカゴでの3000安打達成は微妙に…

丹羽政善

カブスファンがイチローに声援

空振り三振に終わり、表情一つ変えず、ダグアウトに引き下がるイチロー 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 さて、この日(日本時間3日)、3点を追う7回にマーリンズは相手ミスもあって、1点を返し、なおも無死一、二塁という場面でイチローが代打で登場した。

 カブスにしてみればピンチ。しかし前日同様、カブスファンがイチローに声援を送る。リグリー・フィールドでは、極めて稀な光景だった。

 センターのデクスター・ファウラーがその瞬間をこう振り返っている。

「普通なら、あり得ない」

 ただ、「それも当然だ」という。

「3000安打達成の瞬間が見られるかもしれないんだ。僕だって、自分の目で3000安打は見たことがない。チームが勝つなら、イチローが記録を達成する瞬間を見てみたい」

代打で空振り三振…9打数連続無安打

 打席では、イチローが1ボール2ストライクと追い込まれた。真っすぐばかりである。

 4球目、藤川球児がカブスにいた時代にともにセットアッパーを務めたペドロ・ストロップが、「取っておいた」というスライダーを低めに。イチローのバットが空を切ると、スタンドからは、喜びと失望の声が複雑に入り交じって聞こえた。その中をイチローはダグアウトに下がっていく――いつものように表情一つ変えなかった。

 イチローはこれで9打数連続無安打。ヒットは7月29日の試合から止まったままだ。

 明日の試合で、スタメンに名を連ねなければ、シカゴでの達成は厳しくなった。

 そのスタメンの可能性は――。

 連戦が続いていることから、ジャンカルロ・スタントンが休養し、代わってイチローが――というシナリオはここ数日、取り沙汰されているが、スタントンがこの日2安打したことで、微妙になった。ドン・マッティングリー監督がスタントンに休みを与えるのは、3連続三振をしたようなケースが多いからだ。

 明日はデーゲーム。スタメンが発表されるのは3日午前1時前後と見られる。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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