「ベンチプレス」と「ショルダープレス」、上半身を鍛えるならどっち?
その中で、上半身(とくに胸の筋肉)を鍛えられるのは「ベンチプレス」のみです。
しかし、もしかするとベンチプレスより「ショルダープレス」のほうが、筋トレBIG3種目にふさわしいかもしれません。そう考える理由をお伝えしていきます。
筆者プロフィール
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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(左)ベンチプレス、(中央)スクワット、(右)デッドリフト 【MELOS】
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BIG3に含まれるべき種目は「ショルダープレス」だと思う理由
【MELOS】
その理由は、3つあります。
理由1:ベンチプレスは体幹への効果に乏しい
前者2つの動作は、負荷に抵抗して体軸を安定させることが必要です。
そのため、スタビライザーと呼ばれる体幹部分の小さな筋肉群を鍛えることに繋がります。
そして、同様のことがショルダープレスにも言えます。
一方、ベンチプレスではベンチが体を支えてくれるため、安定性は最初から確保されています。
従って、体幹部分への刺激がほとんどありません。
ベンチプレスはフリーウエイト種目でありながら、マシントレーニングに近いとも言えるでしょう。
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理由2:ベンチプレスは実用的な動作ではない
デッドリフトは床に置かれた重い物を持ち挙げるときの動きにそのまま使えますし、スクワットはイスに腰かけた状態から立ち上がる動き。
背中に人や荷物を担ぎ、立ち上がる動作にも似ています。
これに加えてデッドリフトとスクワットは、ともに重量挙げ競技で使われる動作(スナッチ及びクリーン&ジャーク)の1部分でもあるのです。
この2つに取り組むことが、競技力に直結します。
床に置かれたバーベルをまず肩まで持ち挙げ(クリーン)、次に頭上に持ち上げる(ジャーク) 【MELOS】
そもそもショルダープレスそのものが、かつては重量挙げ競技の1種目でした(1972年に除外)。一方で、ベンチプレスのような動きを日常生活で目にすることはほとんどないでしょう。また、他のスポーツでも似た動作はありません。
その点、ベンチプレスは筋肥大のみを目的としたトレーニングのためのトレーニングと呼べるでしょう。
理由3:ベンチプレスは安全性が低い
そのため、ベンチプレスで限界に近い重量に挑むときは補助をしてくれる人が必要ですし、1人で行うときは負荷を加減するしかありません。
これに対してデッドリフトやスクワット、そしてショルダープレスでは、持ち上げられないときはバーを床に落とすだけで済みます。
とはいえ、胸筋を鍛えたい人にはベンチプレスは最適である
安全性についての問題は、補助してくれる人を確保すれば解決します。
ただし、安全のために軽い重量でベンチプレスをしようと考えているのであれば、腕立て伏せやディップスなどの自重筋トレもおすすめです。
ある研究(*1)によると、1RMの40%程度で行うベンチプレスの筋肥大効果は、腕立て伏せとほぼ同じとのこと。同じ効果なら、安全で手軽な方法を選ぶほうが、より合理的ではないでしょうか。
参考文献:
*1.
Low-load benchpress and push-up induce similar muscle hypertrophy and strength gain.
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