プレミア12・出場チーム「戦力ランキング」

記事

 日本時間11月10日からいよいよ開幕する第3回プレミア12。今回は出場チームの戦力を数値化し、6つの項目別(各項目10点満点)で採点。その合計得点をランキング形式で紹介するとともに、各チームについて掘り下げていく。今回は、オープニングラウンドでグループAに属する6カ国を見ていきたい。
(企画・編集/データスタジアム株式会社)

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※寸評は2024年11月2日時点の情報をもとに執筆

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解説

マリナーズでMLBの経験を持ち、今季メキシカンリーグで絶好調だったグローツがアメリカ投手陣の中心か【Photo by Abbie Parr/Getty Images】

層の厚い野手陣を誇る アメリカ

 グループAで最高評価となったのは、ベースボール発祥の地であるアメリカ。過去2大会は、第1回大会で準優勝、2019年の前回大会は3位決定戦でメキシコに惜しくも延長戦で敗北するも、いずれもベスト4入りを果たしている。今大会のチームも過去と同様に若手のマイナーリーガーを中心に構成される見込み。前回の代表選手には、後にメジャーでオールスターゲームに選出されるJ.クロネンワース(パドレス)、A.ボーム(フィリーズ)、B.ルッカー(アスレチックス)といった有望な選手たちがメンバーに名を連ねた。今大会でもC.ウィリアムスやM.ショウといった若手有望株に加えて、今季3Aで本塁打王に輝いたR.ウォードらが選出されるなど、野手陣は層の厚さが際立つ。また投手陣では、メキシカンリーグでT.バウアー(元DeNA)より優れた防御率でランキング1位となったZ.グローツを中心に、メジャー13球団でプレーしたR.ヒル、DeNAで4年間プレーしたS.パットンといった経験豊富なベテランが選出された。エンゼルスで長年指揮を執ったM.ソーシア氏が東京五輪以来となる代表監督に就任し、プレミア12では初となる優勝トロフィーを狙う。

野球世界ランキング2位 メキシコ

 アメリカに次ぐ評価となったのは、23年のWBCでベスト4に輝いたメキシコ。プレミア12での過去2大会は、いずれも3位決定戦に進出。前回大会は8試合で計17失点と投手力を軸としたディフェンス力の高さが光り、アメリカを破って表彰台に登った。今大会の投手陣は、今季3Aで9勝1敗を記録したH.カステヤノス、台湾リーグでともにリーグ2位の防御率2.04、13勝をマークしたM.マルティネスが先発の柱として起用される見込み。リリーフにはメジャー通算496試合登板を誇る大ベテランのF.サラスが控えるなど、今大会でも投手力が強みとなるだろう。一方、打線では16年にメジャーで41本塁打を放ち、ナ・リーグのホームラン王に輝いたC.カーターを中心に、今季メキシカンリーグで最多打点を記録したJ.オルネラスらが中軸を担う。地元で開催されるオープニングラウンドではファンの大きな声援を受け、スーパーラウンドへの進出が有力視される。

アジアを知る投手が複数選出 ベネズエラ

 3番手の評価となったのはベネズエラ。過去2大会はいずれも1次ラウンド、およびオープニングラウンドで敗退。大会通算では3勝5敗の戦績となっている。今大会のメンバーは、主に3Aおよびメキシカンリーグに所属する30歳前後の中堅選手で構成。投手陣にはY.メンデス(巨人)や、韓国リーグで通算52勝を挙げているW.クエバス、台湾リーグで今季最多勝に輝いたM.サンチェスら、アジア各国でプレー経験を持つ投手が数多く選出された。捕手ではともにメジャーリーグでの出場経験を持つペレス兄弟が選出。兄のC.ペレスは今季3Aで27本塁打を記録しており、攻守でチームの中心として活躍が期待されるところ。このほか打線には、メキシカンリーグでそれぞれ打率.350、OPS1.000前後をマークしたA.アマリスタ、A.レイエス、F.バレトといった強打者が名を連ね、リーグ2位の36盗塁を記録したH.ロドリゲスなどの攻撃力に優れた野手がそろう。アメリカやメキシコ相手にも強みである攻撃力を発揮してオープニングラウンドを勝ち抜けるようであれば、スーパーラウンドではアジアを知る投手陣が真価を示す展開もあるかもしれない。

巨人で今季チーム最多の58試合に登板したバルドナードはパナマ代表として大会に挑む【写真は共同】

若手選手の選出が目立つ プエルトリコ

 グループAで4番手の評価となったプエルトリコ。前回大会のオープニングラウンドで3戦3敗を喫するなど、過去の大会では目立った戦績は残せていない。今大会のメンバーは若手選手を中心に構成されており、特に野手陣はアメリカの大学野球リーグでプレーする選手が複数名選出された。対する投手陣は、メジャー通算144試合に登板しているD.アンダーウッドJr.など23年のWBCを経験した3名に加え、国際大会での経験が豊富なA.サンティアゴといった顔ぶれが並ぶ。ヤクルトや巨人などNPBに10年間在籍したD.ゴンザレス投手コーチのもと、ベテラン捕手のJ.センテノとのバッテリーで接戦に持ち込む展開を狙う。初戦のアメリカ戦で大金星を挙げることができれば、勢いづいた若手選手がオープニングラウンドで躍動することもありそうだ。

欧州野球界の雄 オランダ

 野球世界ランキングでは、欧州で最高となる7位につけるオランダ。13年、17年のWBCでは2大会連続のベスト4入りを果たすも、近年の国際大会ではやや苦戦が続いている。今大会のチームは国内リーグに所属する選手に加えて、メジャーで実績十分なD.グレゴリアスやJ.スコープなど、代表ではおなじみのメンバーがそろう。野手陣は、前述の両者を軸に国内リーグ組の活躍が躍進のカギを握るだろう。投手陣もT.デブロックやL.ハイヤーといった代表歴の長い選手を中心に、経験豊富な大ベテランのS.マルティスも登板機会をうかがう。過去の国際大会では、他国に比べて投手陣が戦力的に充実していなかったものの、細かな継投策で結果を残してきた。今大会でも投手リレーがハマるかどうかは、勝負を分けるポイントになるだろう。

中米のダークホース パナマ

 国内では非常に野球人気が高いパナマ。23年のWBCでは予選を勝ち抜き3大会ぶりに本戦出場を果たすと、1次ラウンドで4戦2勝の戦績を残した。このような躍進が評価され、プレミア12は第3回大会にして初出場となる。NPBからは、巨人のA.バルドナードが代表入り。このほか投手陣では、エンゼルスで大谷翔平とともにプレーし、メジャーで2ケタ勝利の経験があるJ.バリアが先発陣の柱として見込まれる。一方の野手陣は、主に国内リーグやマイナーリーグでプレーする選手で構成。メジャー通算663試合出場を誇るR.テハダは前回のWBCで正遊撃手として活躍しており、今大会も中心選手として期待される。戦前の予想を上回る結果を残したWBCに続き、初出場となるプレミア12でもダークホースとして旋風を巻き起こせるか。

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