イチローも不思議?一塁到達タイムの速さ 代打で投ゴロもピッチャーの表情に戸惑い

丹羽政善

速さの要素のひとつはスパイク!?

日本時間20日のフィリーズ戦は代打で出場も判定が微妙なピッチャーゴロ。イチローの足の速さにピッチャーも戸惑いの表情を浮かべた 【写真は共同】

 これでも、2001年には3.65〜3.75秒だったので(オールスターでランディ・ジョンソンと対戦して放った内野安打のときは3.66秒)、そのときよりは少し遅いが、11〜12年は、あるア・リーグのスカウトの計測によれば2年間の平均は4.1秒だった。よってイチローが、「昨年というか、たぶん5年前と比べても速いと思います。少なくとも、ヤンキースにいるころより絶対速いんでね。何でかと言われてもよくわからないですが」と言うのも理解できる。

 速くなっているひとつの要素が、昨年から使用している「ビモロスパイク」の可能性もある。“ワールドウィングエンタープライズ社“の小山裕史代表が開発したものだが、小山氏によれば、一昨年オフのデータだと「従来と比べて、(走る距離が)20メートルの場合、2.5メートル分速くなっている」と、昨年のキャンプで教えてくれた。

「平均でも70センチ分は速くなる」とのデータもあるそうで、幅で言えば、「1ストライドと30センチです」と付け加えた。そして「一塁までのタイムは、0.3秒は縮まるでしょう」と推測していた。仮に今年の平均値が本当に3.85秒なら、実際、その想定通りになっている。0.3秒はイチローの場合で約2メートル。これは大きい。

微妙な判定のピッチャーゴロ

 イチローとしては、これだけ高いレベルでプレーできているだけに、出場が限られる今の状態はもどかしいところだが、それがそもそも役割だけに、難しい。「今のイチローなら3試合で6安打を打てる」とデービス。「スタメン出場ならね」。

 確かにその可能性を十分に感じさせるものの、この日は8回に先頭打者として代打で登場すると、ピッチャーゴロに倒れた。強襲安打かと思われたが、かろうじて右手に当てた投手が打球を拾って、一塁へ。判定は微妙なタイミングとなったが、わずかにイチローの足が及ばなかった。

 これもしかし、一塁へのタイムは相当速かったのではないか。手元の計測では3.86秒を記録したが、相手投手のびっくりしたような表情がそれを物語っていた。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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