高額過ぎる?リオに“五輪バブル”到来 ホテル代10倍、通訳の日給は月収並みに
日本語可能の通訳は争奪戦
日本からも選手団やマスコミ関係者らが多数リオ入りするが、通訳が足りず争奪戦となっている 【写真:ロイター/アフロ】
通訳を必要とするのは、旅行会社をはじめ日本のマスコミ各社。NHKは200人規模、民放各社も100人規模のクルーを派遣し、大手新聞社、通信社も50人程度を派遣するという。ポルトガル語を話せる人はほとんどいないため、助手として日系人を雇わざるを得ない。2年前に行われたサッカーのワールドカップの時も、マスコミ各社は通訳確保に躍起となり、1日のアルバイト料が5万円を突破した。ところが、通訳能力の低い人が多く、「使いものにならない」(民放関係者)ことから、今回はマスコミ各社が談合し半額程度まで落としたという。
旅行会社も日本からの観戦者や選手団、関係者を案内するガイドや案内役が不可欠だ。ところが、ブラジルには正規免許を持った日本語のできる観光ガイドが少なく、リオとサンパウロを合わせても約30人。日本の大手旅行会社によると、日本から五輪、パラリンピックでブラジルを訪れる日本人観光客は約1万人と見込んでおり、これでは焼け石に水だ。このため、日本語のできる日系人通訳の争奪合戦が繰り広げられた。昨年来、リオの日系団体には毎日、「日本語の話せる人を紹介してほしい」との問い合わせが舞い込み、会長はじめ役員は苦り切った顔で「そんな人はもうリオにはいない」と断るのに苦労していることが話題となった。
現地人も五輪は「テレビで観るに限る」
日本からの現地観戦ツアーも高額に。選手の家族ですら応援に乗り込むのは容易ではない 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
優秀な通訳を日本から引っ張ってくるところも出てきている。それでもなお不足気味で、日給がどんどん吊り上がり、職種によってはポルトガル語と英語ができ、仕事のできる人材なら1日10万円を出しても雇いたいというところまで出てきた。リオ在住の日本人によると、「このままだと通訳の引き抜き合戦になるよ。ブラジル生まれの人達はちょっと給与が良ければすぐに動くからね」。欲に取り付かれた者たちの世界だ。
こうした費用が全て旅行費用に跳ね返るため、高騰するのは当たり前だろう。日本の大手旅行会社が売り出している五輪ツアーの価格を見ると、5泊前後のツアーで1人100万円から150万円。通常の2倍から3倍に高騰している。これでも来る人がいるのだろうか。五輪の観客は選手団の家族が多いのが特徴だという。確かに五輪に出場する息子や娘を応援してやりたいというのが親心だ。しかし、夫婦2人で応援のためにリオまで来ると200万円から300万円。これだけ出して応援に来ることができる家庭がどれだけあるのか。
ブラジルに住む人たちでも、五輪観戦に行こうという人は少ない。ホテル代の高騰が最大の理由だ。
「テレビで観るに限る。わざわざお金を捨てに行くようなツアーに参加するなんて馬鹿げているよ」