高額過ぎる?リオに“五輪バブル”到来 ホテル代10倍、通訳の日給は月収並みに

サンパウロ新聞

ホテルは「20泊買い取り」が条件

五輪開催を受け、リオデジャネイロではホテル代などが高騰しているという。現地紙がその実態をリポートする 【提供:Alex Ferro/COB via ロイター/アフロ】

 リオデジャネイロ五輪開幕まで1カ月を切った。相変わらずマイナスイメージばかりが先行している中で、次の開催国・日本では、視察団派遣や事前合宿誘致のために地方自治体が五輪視察を計画している。ところが、ここにきて旅費高騰を理由に次回開催地の東京都議会が視察の中止を決定、その他の自治体でも規模を縮小する動きが伝わってきた。

 この旅費高騰の理由は、開催地リオデジャネイロの商魂のたくましさが大きく影響している。ブラジル人のイメージといえば、陽気で朗らか、人のいいゆったりした人を思い浮かべるだろう。ところが、「機を見るに敏」という商売上手な一面があるのだ。

「世界三大美港」とも呼ばれるリオデジャネイロは、観光地として世界に知られている。ところが、当初からホテルが少ない。そこで五輪に備えて新しいホテルの建設ラッシュが続き次々とオープンしたが、それでも足りず、港に豪華客船を並べてホテル代わりにすると発表されていたほどだ。国際オリンピック委員会(IOC)が4つ星、5つ星のホテルを押さえていることからすべて完売状態になり、3つ星クラスのホテルも1泊6万円はくだらないという。

 しかも、ホテルは1泊では売らず20泊買い取りを条件としているため、旅行会社は20泊を買い取り、切り売りするという方法を取らざるを得ない。「すべて売れればいいが、売れなければ困るので、リスク回避のために1泊の料金が高くなるのは当然」とある旅行会社は言う。この1泊6万円以上もするホテルだが、通常では7000円程度の部屋だというから10倍近くに跳ね上がっていることになる。直前になり少しずつ4つ星、5つ星の空室が出回ってきているというが価格が下がる気配はなく、ホテル代の下落を期待するのは無理だ。

他州からハイヤーを手配できず

「20日間借し切り」という条件をクリアーしなければ、車両手配も困難な状況だ 【写真:ロイター/アフロ】

 高騰しているのはホテル代だけではない。バスや乗用車などの車両が不足しており、今からでは手配できないのだという。ハイヤーを1日8時間使うと8万円、防弾車に至っては1日38万円。これもホテルと同じで20日間借り切らなければならない。各国の大手旅行会社は昨年の段階でホテル同様、予約で押さえられているため、いくら探しても手配できないのだ。

 リオの日系旅行会社が車両会社に「長年の付き合いなんだから、何とか回してほしい」と泣きついても回してもらえないと憤慨する。どこが20日間借り切るのかといえば、中国人が言い値で買い取っているのだという。こんなところにも金持ち中国人の顔が見え隠れする。

 バスや、ハイヤーが足らなければ、サンパウロやほかの地域から調達すればいいだろうと考えるのだが、リオのバスやハイヤーの組合が他州からの参入ができないようにガードしているため、他州からは車両を持ち込めないのだという。

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著者プロフィール

1946年に創刊したブラジル・サンパウロの邦字新聞(週5回発行)。日刊の邦字新聞としては海外最大規模を誇る。日系社会の言論界をリードし、さらには文化事業で日本との架け橋を担う。

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