カブス、“愛すべき敗者”脱却なるか? 108年ぶり世界一へ向け中地区独走中
ここに来てやや息切れ?
打線を引っ張るのは24歳のブライアント 【Getty Images】
もっとも、序盤戦は順風満帆だったカブスだが、ここに来て少しずつ足並みが乱れ始めている。最初の67戦で47勝20敗と驚異的なペースも、その後の27戦では12勝15敗、6月20日以降は4勝10敗。01年にマリナーズが挙げたシーズン116勝(メジャー最多タイ)に迫るほどの勢いは吹き飛んでしまった。
特に心配なのは、大エースのアリエッタが息切れ気味なことだ。前記通り、トータルの数字は良いが、過去8戦では防御率3.77。そのうち5試合で6回以内で降板という内容は、昨季中盤以降は完璧な投球を続けた投手としては物足りない。
「フラストレーションを感じるよ。僕は本当ならストッパーにならなければいけない立場なのに……。ただ、必ず立て直してみせる」
7月2日のメッツ戦で6回途中8安打4失点で3敗目を喫したあと、アリエッタは復調に意欲を示していた。ただ、30歳の右腕は去年はシーズン、プレーオフを合わせて投球回数248回2/3(その前年は156回2/3)とフル回転しただけに、疲れが出始めても不思議はない。また、続く3日のゲームでは、6月のナ・リーグ月間最優秀投手に選ばれたレスターも1回1/3で8失点と滅多打ちされてしまった。
結果として、去年はワールドシリーズに進んだメッツにまさかの4連敗。6月13日以降、ナショナルズ、カージナルス、マーリンズ、そしてメッツと、現時点でプレーオフを争っているチームにすべて負け越してしまった。この停滞ゆえに、“カブスは大丈夫なのか”という声も少しずつ挙がり始めている。
マドン監督は「心配していない」
レッドソックス時代の07年に世界一の経験を持つレスターのそんな発言は、単なる強がりとは思えない。まだ地区2位のカージナルスに8ゲーム差の独走態勢。本来であれば慌てる状況ではまったくない。それでもカブスの注目度が破格に高いゆえに、少々のつまずきでも騒がれてしまうのである。
「私は腹を立てていないし、心配してもいない。また良いプレーができるようになる。間違いなく再び好調期間が来るよ。重要なのは日々を大事にしていくこと。改めて振り返れば、ここまで好成績を残せているんだから」
マドン監督がそう不安を打ち消そうとしても、カブスを巡る喧騒は終わらない。
今後もプレーオフの時期に至るまで、カブスの一挙一動に全米から好奇の視線が集まり続けるのだろう。周囲が常に騒々しいのも、“アメリカズチーム”の宿命である。その重圧を乗り越え、体制を立て直し、カブスは実に108年ぶりのワールドシリーズ制覇に近づいていけるのかどうか。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』の予言は残念ながら叶わなかった。それでも、いずれカブスを主役に据えたハリウッド映画が生まれても不思議はない。現代に生きる私たちは、それほどに歴史的なシーズンを目撃しているかもしれないのである。
※成績はすべて現地7月4日終了時点のもの