注目は長野の横山久美、I神戸の杉田妃和 新生なでしこ、招集が期待される選手たち

江橋よしのり

なでしこリーグ前半戦の驚きは横山の活躍

長野パルセイロの横山は、今季のなでしこリーグで9試合10得点と爆発。1部初参戦となるチームの躍進を支えている 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」は、6月上旬に米国に遠征し、高倉麻子新監督の就任後、初めての国際親善試合を行う。試合は6月3日、10時30分からコロラド州コマースシティ、6日の午前2時からオハイオ州クリーブランドで、女子米国代表と対戦する(いずれも日本時間)。

 リオデジャネイロ五輪の出場を逃したなでしこジャパンにとっては、2019年のフランス女子ワールドカップ(W杯)、そして20年東京五輪に向けての、長期的な強化計画の船出。一方の米国女子代表は、3大会連続の金メダル獲得を狙うリオ五輪本番を前にした、絶好の足馴らしの機会となる。

 なでしこジャパンは、この米国遠征に参加するメンバーを5月20日に発表する予定だ。当コラムは、発表前日にあたる19日の段階で、今季のなでしこリーグでの活躍から招集が期待される選手を複数名ピックアップして紹介する。

 なでしこリーグは現時点で第9節までを消化。全18節のうち半分を終え、ちょうど各チームは一回り対戦したところだ。リーグ前半戦で最も驚くべき活躍を見せたのは、AC長野パルセイロ・レディースのFW横山久美(22)だろう。

 長野は2部リーグから今季初昇格。まずは1部残留争いを勝ち抜けるかどうか、という周囲の予想をはるかに超え、5勝1分け3敗の4位(首位と勝ち点6差、2位とは3差)と健闘。5勝の中には、昨年の皇后杯チャンピオンINAC神戸から挙げた3−2の逆転勝利も含まれる。このINAC戦で横山は、右サイドの角度の薄いところから思い切り打ち抜く同点ゴールと、ファーポストに直接当てるCKで逆転ゴールのアシストを記録している。

「わざと倒れてファウルをアピールしたくない」

 横山は昨季2部で25試合35得点を挙げ、一昨年と合わせ2年連続得点王となった。本人は「でも、1部とはレベルの差があることは分かっている」と、今季開幕前には謙虚なコメントを残していたものだが、ふたを開けてみれば1部リーグでも9試合10得点。得点ランク2位に5点差をつけ、他のストライカーとの「レベルの差」を感じさせながらランキングのトップを走っている。

 横山の魅力は、積極的に前を向くこと、囲まれてもボールをキープできること、そして倒れないことだ。相手DFがシャツをつかんで引っ張るなど、ファウルまがいのプレーで横山の突破を阻もうとした時でも、彼女は相手を引きずりながら前進する。

「わざと倒れてファウルをアピールするようなことは、私は絶対にしたくない。もしそうしたとしても(ファウルを)取ってもらえるとは限らない。だったら、立ってプレーを続けたほうがいい」

 横山の言葉から、彼女の気持ちの強さがうかがえる。特に当たりの激しくなる国際試合では、彼女の強い気持ちは日本の武器になる。2年前のU−17女子W杯で優勝した直後、高倉監督は「日本の選手にはひ弱さが目立った。彼女たちの将来を考えると危機感のほうが大きい」と心配していたが、そのような不安は横山にはない。横山は米国戦でも、いつものように強気でプレーするだろう。気持ちに自信を持つ彼女だから、今後もし世界の壁にぶつかったとしても、体の動作やボールを扱う技術、あるいはポジショニングの判断などから修正点を見つけることだろう。横山が米国遠征で何を持ち帰り、東京五輪までにどんな選手に育っていくのか、今から楽しみだ。

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著者プロフィール

江橋よしのり

ライター、女子サッカー解説者、FIFA女子Players of the year投票ジャーナリスト。主な著作に『世界一のあきらめない心』(小学館)、『サッカーなら、どんな障がいも越えられる』(講談社)、『伝記 人見絹枝』(学研)、シリーズ小説『イナズマイレブン』『猫ピッチャー』(いずれも小学館)など。構成者として『佐々木則夫 なでしこ力』『澤穂希 夢をかなえる。』『安藤梢 KOZUEメソッド』も手がける。

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