五輪中間年に見えた女子フィギュア ジャンプレベルは同等、個性の時代に
表彰台を3カ国が独占
五輪中間年の女子フィギュアは日本、ロシア、米国の3強時代が明確となった 【坂本清】
バンクーバーではキム・ヨナ、ソチでは羽生結弦と教え子を連続で五輪金メダリストに導いたブライアン・オーサーはこう語る。
「今季のオフが一番重要。なぜなら16−17シーズンが成功すればその方向性を五輪に継続すればいいし、失敗したと感じれば反面教師で方向性を見つければ良い。つまり五輪の準備は、16年の世界選手権が終わった瞬間から始まっているのです」
もちろん、今季の男子は言うまでもなく“4回転進化”の分水嶺(れい)。羽生とハビエル・フェルナンデスが4回転計5本を跳んで300点超えを果たし、金博洋は世界初の“1試合で4回転計6本”を成功させ、宇野昌磨は世界初の4回転フリップを跳んだ。平昌五輪に向けた準備は、全選手とも共通で“複数の4回転”であることが明確になった。
一方の女子は、技術面での大きな進化はなかった。そのぶん、演技や滑りなど個性の多様化が示されたシーズンだった。
まず女子のトップグループは日本、ロシア、米国の3強時代が明確になった。世界選手権の1〜8位も、グランプリファイナルの出場者6人も3カ国のみ。さらに、国際スケート連盟主催となる四大陸選手権、欧州選手権、世界ジュニア選手権の表彰台もすべて3カ国が独占したのだ。そしてこの3カ国はそれぞれの強化の方向性が異なるため、戦略の多様化が進んだ。
世代を超えてブランドを受け継ぐ日本
日本は15歳の樋口(写真)ら若手が台頭。強豪チームジャパンのブランドが受け継がれている 【坂本清】
また米国は、ベテラン勢が身体的にも精神的にも熟練され、ピークを迎えようとしている。これは、古くからスポーツとしてのフィギュアスケートが定着している米国ならでは。筋力を蓄えたしなやかな肉体を生かし、スピードをつけてダイナミックなジャンプを跳ぶ。身長が伸びて大人の身体になってもジャンプを跳べるという、技術的な研究蓄積のうえに、アシュリー・ワグナー(24歳)や長洲未来(23歳)の活躍が成立した。