明暗分かれた樋口新葉と本田真凜 ジュニア有望株、それぞれの全日本
2位に食い込んだ樋口新葉(左)ら、今季の全日本選手権はジュニアの有望選手が多く出場した 【坂本清】
新旧女王対決に注目が集まる一方で、今大会にはジュニアから多くの有望選手が出場していた。特に耳目を引いていたのは樋口新葉(開智日本橋学園中)と本田真凜(関西大中・高スケート部)だろう。共に現在14歳の両者(樋口の方が学年は1つ上)は、次代の日本フィギュア界をけん引していくヒロイン候補。しかし、今大会では明暗がくっきりと分かれた。
苦しいシーズン序盤を過ごした樋口
だが、ケガが癒えた11月の全日本ジュニア選手権では、圧巻の演技で2連覇を達成。「これで自信がちょっとついた」という樋口は、その勢いのまま今大会に臨んだ。
SPは3つのジャンプをすべて後半に入れる強気の構成。3回転フリップでオーバーターンとなった以外はしっかりと演技をまとめた。
「今シーズンの中では100パーセントの力を出し切れたという感じです。去年の成績もあったのですごく緊張して、6分間練習なんかでも足が固まっていたんですけど、そういう状態でも集中してできたことがうれしいです」
得点は67.48点。ジャンプで1つミスを犯しながらも、ステップやスピンなどの要素が評価され、3位発進となった。
「62点くらいだと思っていたので、想定以上でした(笑)。今年の目標は去年よりも表現力を磨くことだったので、それが出せたのはよかったです」
成長を感じさせた立ち居振る舞い
演技はもちろんのこと、立ち居振る舞いにも成長が見られた樋口 【坂本清】
「今シーズンで1番の演技をSPとFSでそろえられました。全日本ジュニアで自信がつき、それからもたくさん練習してきたので、その成果を発揮できたのかなと思います」
前回大会より順位を1つ上げたこともさることながら、より成長を感じさせたのは立ち居振る舞いだ。昨年はFSを終えた時点で精魂尽き果て、1人で立っていることができなかった。いすに座りながら取材対応を行っていたが、今季は前回以上に難しい構成で臨みながら、疲れた様子も見せず平然と質問に答えていた。そうした肉体的かつ精神的な強さを身につけられたのはケガで苦しんだ経験と無関係ではない。
「今年は他の選手が経験できないようなことを経験してきました。そこで学んだことをしっかりと自分の中で積み重ねてこられたと思います」
樋口を指導する岡島功治コーチも愛弟子の成長に目を細める。
「ケガをしたときでも、それを言い訳にしなくなりましたね。その点はすごく強くなったと思います。やっぱりケガというのは付き物なので、そういう対応をするように少しずつなってきたのかなと思います」