明暗分かれた樋口新葉と本田真凜 ジュニア有望株、それぞれの全日本

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2位に食い込んだ樋口新葉(左)ら、今季の全日本選手権はジュニアの有望選手が多く出場した 【坂本清】

 12月25日から27日まで行われたフィギュアスケートの全日本選手権で、女子は宮原知子(関西大中・高スケート部)が連覇を達成した。1年間の休養から今季復帰した浅田真央(中京大)はショートプログラム(SP)で5位に甘んじたものの、フリースケーティング(FS)で巻き返し3位に入った。調子がなかなか上がらない中、意地を見せた格好だ。

 新旧女王対決に注目が集まる一方で、今大会にはジュニアから多くの有望選手が出場していた。特に耳目を引いていたのは樋口新葉(開智日本橋学園中)と本田真凜(関西大中・高スケート部)だろう。共に現在14歳の両者(樋口の方が学年は1つ上)は、次代の日本フィギュア界をけん引していくヒロイン候補。しかし、今大会では明暗がくっきりと分かれた。

苦しいシーズン序盤を過ごした樋口

 昨年の全日本で初出場ながら3位に輝き、世界ジュニア選手権でも銅メダルを獲得した樋口は今季序盤、腰のケガもあり精彩を欠いていた。ジュニアグランプリ(JGP)シリーズではオーストリア大会でまさかの5位。クロアチア大会は2位と復調したものの、本田の後塵を拝してしまった。昨シーズンは3位に入ったJGPファイナルには進めず、苦しい時期を過ごしていた。

 だが、ケガが癒えた11月の全日本ジュニア選手権では、圧巻の演技で2連覇を達成。「これで自信がちょっとついた」という樋口は、その勢いのまま今大会に臨んだ。

 SPは3つのジャンプをすべて後半に入れる強気の構成。3回転フリップでオーバーターンとなった以外はしっかりと演技をまとめた。

「今シーズンの中では100パーセントの力を出し切れたという感じです。去年の成績もあったのですごく緊張して、6分間練習なんかでも足が固まっていたんですけど、そういう状態でも集中してできたことがうれしいです」

 得点は67.48点。ジャンプで1つミスを犯しながらも、ステップやスピンなどの要素が評価され、3位発進となった。

「62点くらいだと思っていたので、想定以上でした(笑)。今年の目標は去年よりも表現力を磨くことだったので、それが出せたのはよかったです」

成長を感じさせた立ち居振る舞い

演技はもちろんのこと、立ち居振る舞いにも成長が見られた樋口 【坂本清】

 FSでも好調を持続した。冒頭の3回転ルッツ+3回転トウループをきれいに決めると、その後も次々と要素を成功させていく。終盤の3連続ジャンプこそ3回転フリップでエラーを取られたものの、それ以外はGOE(出来栄え点)でほとんど加点がついた。FSの得点は127.87点。合計195.35点で昨年を上回る2位に輝いた。

「今シーズンで1番の演技をSPとFSでそろえられました。全日本ジュニアで自信がつき、それからもたくさん練習してきたので、その成果を発揮できたのかなと思います」

 前回大会より順位を1つ上げたこともさることながら、より成長を感じさせたのは立ち居振る舞いだ。昨年はFSを終えた時点で精魂尽き果て、1人で立っていることができなかった。いすに座りながら取材対応を行っていたが、今季は前回以上に難しい構成で臨みながら、疲れた様子も見せず平然と質問に答えていた。そうした肉体的かつ精神的な強さを身につけられたのはケガで苦しんだ経験と無関係ではない。

「今年は他の選手が経験できないようなことを経験してきました。そこで学んだことをしっかりと自分の中で積み重ねてこられたと思います」

 樋口を指導する岡島功治コーチも愛弟子の成長に目を細める。

「ケガをしたときでも、それを言い訳にしなくなりましたね。その点はすごく強くなったと思います。やっぱりケガというのは付き物なので、そういう対応をするように少しずつなってきたのかなと思います」

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