ハリルホジッチ「第一段階は終わった」 W杯アジア予選 シリア戦後会見

スポーツナビ

チームのスピリッツが美しかった

ハリルホジッチ監督は「ポジティブなこともネガティブなこともあった。今後も、メンタルもタクティックもテクニックも向上させていく」と話した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

──これからの成長ということを考えると、前半30分までのプレーが指標になる。そのためには、今後どのようなことが必要だと思うか?(大住良之/フリーランス)

 前半の30分を90分間続けるのは難しい。われわれには、強い時間帯と弱い時間帯がある。自分たちのエネルギーをどう使うか。いろいろなことをコントロールしながら、時には時間をかけることも必要だろう。ただし今回は、選手にどんどん行けと言った。(前半21分に)シンジ(香川)からのパスをオカ(岡崎)がバイシクルシュートするスペクタクルなアクションがあった。このような簡単に点が取れる場面で取れないと、次第に疑心暗鬼になってしまう。そういう時に、彼らがどういう反応をしたのか。その時は、まだトップな状況ではなかった。まだまだディスカッションは必要である。

 2次予選は終わったが、われわれの第二段階がスタートする。もっと強いチーム、問題を起こすチームも出てくるだろう。守備にも厳しさが求められる。われわれの弱い時間帯に、もっとコントロールをしないといけない。お互いにコミュニケーションするとか、集まってブロックを作るとか。まだまだディスカッションして、準備する必要がある。相手も2〜3回、非常に良いアクションをして、西川が素晴らしいセーブをした。このような試合で失点をしなかったことが素晴らしい。2次予選で初めて、相手が得点しそうなチャンスを作った。もしかしたら1回か2回、失点を食らったかもしれない。

 しかし、これは教訓になる。われわれが(ゲームを)コントロールしなかったら、こういうことが起こる。シンガポール戦の話を何度も選手にした。前もって勝てる試合などひとつもない。勝利を追求していくぞと。(今日は)素晴らしい得点を挙げて勝利で終わった。カウンターも仕掛けたし、ポジティブなこともネガティブなこともあった。今後も、メンタルもタクティックもテクニックも向上させていく。

──2次予選の成長した部分を何点か語っているが、最終予選に向けて最も修正しなければならない課題は何か?

 言うのは簡単だが、オーガナイズをキープすること。ブロックすること。攻撃時に、どうキープするか。今回は簡単に集中が欠けたためか、簡単にボールを相手に渡してしまった。われわれのイメージとして、ゲームをコントロールするという意味で「ディフェンスの厳しさ」というものを定着させないといけない。われわれはまだ、そこのレベルに達していない。今日はホームでの試合だったが、これがアウェーになったら、相手が先制したらどうなるか。あるいは審判が不利な笛を吹いたら、われわれは困難に陥る。選手たちを祝福するが、われわれはたくさんのことを伸ばせることを忘れてはならない。選手にも話したことだが、まず家を作るには基礎が重要だ。そこから一階、二階を作って、三階はW杯ということになる。今、われわれはようやく一階を作った。

 家の基礎をしっかり作らないと、地震が起きると壊れてしまう。しっかりとした土台、特に守備のところができていれば、われわれは徐々に高い家を作れるのではないか。そういった話を選手はよく聞いてくれた。(彼らに)「ブラボー」と言う資格はあるが、われわれはまだ強豪国ではないし、選手を炊きつけないでほしい。冷静に、冷静に。これから最終予選に入るが、本当に困難なことがまだまだ起こる。皆さんもフットボールの美しい夜を共有できただろうし、スペクタクルなシーンも何回か見せることができた。全員が最大限のことをやってくれた。私が楽観的でいられるのは、チームのスピリッツが美しかったからだ。それが発展できると、さらにうれしい。

シリア代表ファジェル・イブラヒム監督、試合後会見

「シリアは運がなかった」と試合を振り返ったイブラヒム監督 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

「シリアは運がなかった」

 一言だけ申し上げたい。日本とシリアともに最終予選に勝ち進むことになった。日本はアジアでベストチームだから当然の結果だろうが、シリアには特別なことだ。両チームともに、お祝いを申し上げたい。

──最終予選に進めることは試合前に決まっていたが、選手には知らせたか?(植田路生/フットボール批評)

 先に教えた。

──結果的には5−0になったが、前半の終わりから後半は拮抗していた。どう評価するか?(田村修一/フリーランス)

 先ほども言ったとおり(日本のような)アジアのベストチームと戦うので簡単ではない。それでもよく戦ったと思う。日本には素晴らしい選手がそろっている。経験値もあり、欧州で活躍する選手もたくさんいるので、試合中もいろいろ仕掛けてくる。

 シリアは運がなかった。得点のチャンスをものにできなかったからだ。前半は日本が完全にゲームを支配していて、シリアも良いパフォーマンスができなかった。後半はチャンスを作ったものの得点に結び付かなかったのは不運だった。決まっていたら流れは変わっていたのではないか。最初の3失点は、個人のミスによるものだが、サッカーとはそういうものだ。個人的には、最終予選に進むという目標は達成できた。だが、今後やるべきことはたくさんある。シリアでは新しい世代が台頭しつつあるので、彼らを育てていかないといけない。

──新しい世代ということだが、日本に注目すべき若い選手はいたか?

 たくさんいたが、まずはJFA(日本サッカー協会)が長期的な育成計画を立ててきた成果だと思う。日本には素晴らしい若い選手がたくさん出てきているが、彼らは現在、活躍している偉大な選手たちから良い影響を受けている。特に欧州で活躍している選手の存在は大きい。というのも、メンタリティーを変えていかないと選手は成長していかないからだ。日本は、欧州のメンタリティーをもってプレーしているのが優れた点だと思うし、ビッグクラブで活躍する選手がいるからこそ日本は成長しているのだと思う。先ほどアジアでベストチームだと言ったが、今後は世界の中でもベストチームになれると思う。

※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。

2/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント