ハリルホジッチ「第一段階は終わった」 W杯アジア予選 シリア戦後会見
シリア戦後の会見に臨むハリルホジッチ監督 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
試合後、日本のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「美しい勝利ができた。スペクタクルだったとさえ言える」と評価。しかし、後半に何度か危険なシーンを迎えたこともあり、「スペクタクルなプレーを意識しすぎて、攻撃のオーガナイズが少し崩れてしまった」とコメントした。また、「第一段階は終わった。第二段階は、もう少し難しくなる」と話し、「ここで満足してはいけない。このチームの発展を続けていく」と最終予選に向けてさらなるレベルアップを誓った。
われわれの伸びしろはまだある
最初の25分から30分はハイレベルな試合をしたと思うし、レベルの高い動きを作り出した。スペクタクルだったが点を取れず、よくない時間帯となった。このように得点を取れなかったら、相手に自信を与えることになる。前半の最後の方は、簡単な状況ではなかった。後半もそういう時間帯があった。スペクタクルなプレーを意識しすぎて、攻撃のオーガナイズが少し崩れてしまい、そこを相手にうまく突かれてしまった。ただ、相手も強いチームだったことを考慮すべきだし、何人か良い選手もいた。
選手にはブラボーと言った。第一段階は終わった。第二段階は、もう少し難しくなる。このチームの発展と向上はまだ終わっていない。すべての面でまだ伸びると思う。タクティクス、メンタル、フィジカル、テクニック。そして得点能力をもっと伸ばしたい。こんなにチャンスを作ったのは信じられない。われわれの伸びしろはまだある。スペクタクルな試合をした選手を祝福したい。
岡崎(慎司)がキャプテンマークを巻いたが、彼へのオマージュ(賛辞)を忘れてはならない。これは彼の努力が報われたということだ。チームに忠誠を尽くす、素晴らしい選手だと思う。本当は彼にも1点取ってほしかった。(今日の得点は)全員で取ったゴールだった。
──原口をボランチで起用した理由は? 監督は縦方向の突破やデュエルを志向し、さまざまなシステムのテストをすると同時に、チームの世代交代を図るという点で原口を高く評価しているように感じられるが。
原口が中盤に使われた理由を、皆さんご理解いただいているだろうか? 彼の役割が(中盤に)適応しているということだ。彼が入ってかなりのことをオフェンス面でもたらし、最後はゴールまで決めてくれた。もっと良いシーンも2〜3回あった。長い間、彼について話してきた。フィジカルとテクニックの要素。ただし、タクティクスはまだ少ない。なぜなら、いろいろなところに行きすぎてしまうからだ。各ポジションで、厳しくタクティクスを要求している。
全員が(スペクタクルなプレーを)求めてしまい、オーガナイズが崩れて2〜3回の困難に陥った。これはトライなのだが、そのポジションでのすべてのクオリティーがあるのが原口だ。ただ攻撃ではタクティクスでしっかりオーガナイズしないとならない。自分勝手に、右に左に前、後ろに行ってはいけない。自分の動きに関して、しっかり管理されていなければならない。
ただし(原口のボランチは)かなり良いオプションだと思う。長谷部が守備の修正を全部やってくれたので、もう1人は前で働ける選手が必要だった。今日は(原口は)しっかり良い入り方をして、センタリングから良いゴールを決めた。前回の試合で、長友(佑都)が良いセンタリングを供給していたが、誰も合わせられなかった。今回はそれができた。
興味深いシーンがたくさんあった。オーガナイズがよくされたチームに対して、われわれがオーガナイズを崩しすぎた。25分から30分くらいは、われわれのブロックはできていたが、それから全員が広がりすぎて簡単にパスミスをして、相手が自信をつけてしまった。今回の教訓として、われわれは攻撃の時もしっかりとオーガナイズをできないと、こういったミスで相手が簡単に仕掛けてくるというのが分かったと思う。
このチームの発展を続けていく
2次予選の分析をすると、私は1時間か2時間はここに残らないといけない(笑)。分析をするときは時間を置いて、落ち着いてからすべきだ。今日は審判の笛に少しイライラしすぎてしまった。選手には、アグレッシブにいってペナルティーをもらうようにという話もしたが、主審は(日本に)有利な笛を吹いてくれなかった。われわれの16メートル前で笛を吹いたが、これは評価できない。これがアウェーであれば、フットボールの世界ではすべてのことが起こり得る。レフェリーのことについて、私は初めて話をするわけだが、あまり信頼しすぎない方がいいかなとも思った。
ただ、いろいろ分析をしないといけないのだが、振り返るとシンガポールとの初戦から引き分け(0−0)になってしまい、私はこの結果をのみ込めなかった。われわれに僅差に迫っていた相手(シリア)に美しい勝利で終えることができ、ポジティブなこともたくさんあった。おそらく1試合で(平均で)4点くらい取ることができたと思うが、そうはいっても得点能力はまだ伸ばせる。
守備面だが、25分から30分、ブロックを作って前に行きながらの守備をしていたとき、相手は(自陣)16メートルまでたどりつけなかった。われわれが少し難しいことをしようとしたときに、動きもなかったために難しい状況を作ってしまった。メンタル面でも、私が考えていた以上に強くなかった。慌てすぎるなど、テクニックのミスもあった。アウェーに行くと、スタンドの雰囲気や審判のジャッジも変わって、異なるシチュエーションになる不安もある。最終予選にいけたのは良かったし、たくさんの得点を決めて失点もしなかった。ただし日本代表は、すべての面で向上できると思っている。
試合後、ディスカッションを選手としたが、まずはスタッフを含め選手に感謝した。みんな、本当に素晴らしい仕事をしてくれた。だが、ここで満足してはいけない。このチームの発展を続けていくこと。各自が自己犠牲をはらうこと。選手もスタッフもだ。