個性際立つ3人の「異色スケーター」 写真で切り取るフィギュアの記憶
エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)
【写真:ロイター/アフロ】
14歳で世界ジュニア選手権に優勝すると、1998年の世界選手権に15歳で初出場して3位に。計7回出場した世界選手権で3回優勝し、2006年のトリノ五輪では優勝、2002年のソルトレイクシティ五輪と2010年のバンクーバー五輪では銀メダリストになり、2014年ソチ五輪では団体優勝を果たしています。現在33歳。約20年にわたり、世界のトップを走り続けています。それを可能にしているのは、試合になれば4回転を含んだ難しいジャンプを必ず決めることです。
2009年のロシア選手権。練習リンクで見た、すでにいくつもの手術を乗り越えた27歳の彼は、常に4回転を降りているというわけではありませんでした。それでも、試合になれば必ず降りる。その調整能力と気持ちの強さに、いつも驚愕させられます。
そして、これまでに数多くの手術を経て、今も氷の上に立ち続けていること。「引退する」と何度か公言したけれど毎回撤回して、現在に至っています。先日も首のヘルニアの手術をして、数カ月の間、ジャンプ練習を禁じられたということですが、そんな状況からも、きっと彼は戻ってくるんだろうな、と思ってしまうのです。
こうした超人的なことを可能にしているのは、もともとの才能に甘んじず、自分にとても厳しい節制を課して、努力してきた日々、年月です。しかも、プルシェンコはそれを見せない。どこかくすっと笑ってしまうようなおちゃめな姿を披露して、そんな地道な時間の積み重ねを感じさせません。
「次はどの試合に出るんだろうか」。本当に出るのか分からないけれど、彼の言葉やアイスショーでの演技に触れるたびに、心のどこかで実は待っている自分に、はっと気づかされます。
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