「歩みが遅い」鈴木明子の結実した努力 写真で切り取るフィギュアの記憶

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 選手の数だけそれぞれの物語がある。笑顔、涙、怒り……こうした表情とともにこれまで多くの名場面が生まれてきた。後世まで脳裏に刻んでおきたいフィギュアスケートの記憶を写真で切り取る。

「鈴木明子 全日本選手権(2013年)」

【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 才能が開花する時期というのは人それぞれだ。アスリートも例外ではなく、早熟な選手もいれば、遅咲きの選手もいる。どちらがいいというわけでもないが、後者の方が回り道をしてきたぶん、人間味を感じさせることが多い。鈴木明子は、選手としてのピークの年齢が早いフィギュアスケート界において、かなり遅咲きの部類に入るだろう。全日本選手権で初めて表彰台に立ったのは2009年、24歳のときだ。そこからバンクーバー、ソチと2回の五輪に出場し、2012年の世界選手権では銅メダルを獲得した。

「私は小さい頃から、いろいろなことを習得するのにすごく時間がかかるんですよ。スケートを始めてから、シングルアクセルもなかなか跳べなくて(苦笑)。ただそうやって今までも時間がかかってきたから、コツコツと続けてくればなんとかなるんだということも分かっているんです」

 ソチ五輪の出場権が懸かった2013年の全日本選手権は、まさに彼女の長年にわたる不断の努力が結実した大会だった。SP『愛の讃歌』では、苦しみに満ちた10代、再生した20代前半、栄光をつかんだ20代半ばから後半という自らのスケート人生を情感たっぷりに表現。2位につけると、FS『オペラ座の怪人』では、自らを指導する長久保裕コーチを涙させる完璧な演技で表彰台の頂点に立った。
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