“愛すべき名選手”織田信成の引き際 写真で切り取るフィギュアの記憶

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 選手の数だけそれぞれの物語がある。笑顔、涙、怒り……こうした表情とともにこれまで多くの名場面が生まれてきた。後世まで脳裏に刻んでおきたいフィギュアスケートの記憶を写真で切り取る。

「織田信成 メダリスト・オン・アイス(2013年)」

【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 予想していたことではあった。前もってこのシーズン限りで引退することを明言していたからだ。ただ、いざその瞬間が訪れると妙に寂しくなった。織田信成はソチ五輪出場権が懸かった全日本選手権で4位に終わり、代表の座を逃した。しかし、四大陸選手権のメンバーに選ばれ、日本で開催される世界選手権にも辞退者が出れば出場できる可能性があったため、シーズンが終わるまで競技を続けるのではないかとひそかに期待していたのだ。

「自分の実力の至らなさで、代表から漏れてしまった。若い選手も強くなってきているし、今が引き際かなと。本当に幸福に満ちあふれたスケート人生でした」

 全日本選手権の翌日に行われた「メダリスト・オン・アイス」で、彼は引退を発表した。涙を流しながら言葉を紡いでいると、共に競い合った仲間たちが彼のもとへ。「今まで頑張ってくれて本当にありがとう」。そんな温かい言葉をかけられたという。長年のライバルであった高橋大輔とは抱擁も交わした。さらに、リンクを下りるときにはアイスショーの出演者がアーチを作って、彼を見送った。彼がいかに愛されていたかが分かるシーンだ。

【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 引退を発表する約3週間前、彼にインタビューをする機会に恵まれた。最初は真面目に競技のことを語っていたが、いつの間にか脱線し、なぜかお笑いの話に。
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