飯伏幸太、2団体退団の本音「G1で出し切り、ゼロになった」<前編>

佐瀬順一

新日本プロレスとDDTを退団した飯伏に、その真意を直撃した 【スポーツナビ】

 2月22日、欠場中だった“ゴールデン・スター”飯伏幸太が会見を開き、DDTと新日本プロレス、2団体の所属を共に解消し、フリーとして「飯伏プロレス研究所(仮)」を発足させると発表した。

 あまりにも唐突の発表となった退団。その経過や真意について、飯伏本人に直撃し、本音を聞いてみた。(取材日:3月1日)

理想の「2団体」とのズレ

2月22日に会見を開き、2団体退団と「飯伏プロレス研究所(仮)」の設立を発表した 【佐瀬順一】

――リング復帰決定と共に、DDTと新日本プロレスの両団体を退団することを発表したのは、かなり反響があったんじゃないですか?

飯伏 そうですね、結構ありました。

――そもそも、DDTと新日本プロレスの2団体所属になった時は、こんな感じで2団体所属が終わるなんて思っていなかったですよね?

飯伏 最初の頃は単純に2団体所属っていうのを当時誰もやっていなかったし「これ、絶対面白そうだな」っていう興味がありましたね。それで、最初に思ったのは新日本プロレスでは新日本プロレスのスタイルというか、いわゆる正統派のスタイルを極めたいって思っていて、DDTではDDTで路上とか他の団体がやっていなかったことを思いっきりやってみたいと思っていました。

――レスラーとして、振り幅のある感じにしたかった?

飯伏 そうです、真逆でいきたかった。これは最高に面白いことになると思っていたんですよ。実際、2団体所属になってしばらくはいい感じでやっていたし。でも1年経ったあたりですかね? 少しづつズレが出てきたというか……

――それは新日本でIWGPのベルトを目指して闘っていた時期に、DDTでもKO−D無差別級王座への挑戦権が与えられたりして、両団体で同じようにトップやベルトを目指す闘いをすることになったから?

飯伏 はいはい、そうですね。結局同じようなスタイルになってしまうというか……。結果的に、僕がやりたいことではない感じになっちゃいました。

2団体所属は2倍ではなく、それ以上の仕事量に

2015年は1.4東京ドームをクリアしても、すぐに次のビッグマッチが来るという状態だった 【横田修平】

――それでも本人の中では、団体で使い分けみたいなものはできていましたか?

飯伏 半分、分からなくなってきちゃったのもあるし、もっとそれぞれのスタイルに特化したかったです。申し訳ないですけど、DDTでは路上とか変則的な試合のみをやりたかったんです。それができれば、僕はもっとDDTでも輝けたんじゃないかなと思います。

――なるほど。さらに飯伏選手が有名になるにつれ、メディアへの露出も増えましたよね。取材を申し込んでもスケジュールがびっしりで、なかなか日程の調整がつかない時期もありました。そういうのは、精神的にもしんどかったですか?

飯伏 2015年は肉体的にも、精神的にもさすがにきましたね。イッテンヨンのドーム(新日本プロレス・東京ドーム大会)以降、1年間の記憶が薄いというか(苦笑)。大きい試合を乗り切ったら、すぐに次の大きい試合が来るんですよ。疲れましたね。もう2014年が終わった時点で、すでに結構疲れていたんですけど、その状態からさらにって感じで……。

――2013年10月に2団体所属を発表して、2014年までやってみた時点で結構疲れていたけど、2015年がさらに激動過ぎたと?

飯伏 あの試合数、あの仕事(取材)だけだったら、たぶん大丈夫なんですよ。でも2団体でそれをやっている分、環境も違うし、使い分けをしなくちゃならない。そうなると、(所属している団体は)ふたつだけどふたつじゃないんですよ!

――具体的にはどういう意味?

飯伏 単純にふたつの団体だから2倍の大変さ、というわけではないんです。AとBだけならいいんですけど、AとBを足したものも出さなきゃいけない時がある。そうなると、もう「2」じゃなくて「3」じゃないですか。そうなるともう……

――なるほど。特に一般メディアに出る時に「新日本の飯伏」「DDTの飯伏」とか、あまり関係ないですね。新日本プロレスの飯伏として出ているのに、「路上でプロレスとかもしてるんですって?」って言われることもあると?

飯伏 はい。いろいろなものが求められるので、単純に2倍ではなかったです。最初の頃は、要は今までやってきたスタイルだよなって感覚でいました。(2団体)所属になる前も、新日本プロレスには定期的に参戦していたし、そこまで増えるとは思ってなかった。多少増えるぐらいで、そんなにシンドくはないと思っていたんですけど、実際に所属になってみるといろいろしんどくて……

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