- 江橋よしのり
- 2016年3月1日(火) 11:49
後半には追加点を奪うチャンスが訪れたが……

ボールを持たせてもらえない日本は、長い時間を守備に費やした。奪ったボールもすぐに奪い返されるので、「サイドハーフの選手が引きすぎた」(佐々木則夫監督)。そうなると、なでしこがボールを奪える位置(攻撃を開始できる位置)はますます下がり、前方でパスを受ける選手の数も減るという悪循環に陥った。
前半25分、ペナルティーエリア付近に選手が固まっていた日本は、クリアボールを相手に拾われたところから失点。41分には阪口の横パスがレフェリーの体に当たり、こぼれ球を相手に拾われ2失点目。そこから前半終了間際に大儀見優季のゴールで1点を返したが、「さあ反撃」と畳み掛けたいところをハーフタイムで遮られたのも、振り返ればアンラッキーだった。
後半には阪口、宮間が決定的なシュートを放つなど、なでしこにも追加点を奪うチャンスが訪れた。後半のシュート数10本という数字が示す通り、日本は敵陣でボールをつなぐことができれば、相手を脅かすことができる。特にサイドに大きく開いた位置に起点を作れれば、そこからクロスと見せかけてゴール手前にもう一度起点を作ることもできた。
だが、残り時間も気になり始めた後半33分、なでしこは左サイドでおとりの動きに惑わされ、逆サイドではマークから逃げていく相手の動きに対応できず、とどめを刺された。
展開を先読みし、ベストなプレーの選択を

5試合しかない五輪予選で2位以内を目指すことを考えると、初戦に勝ち点がゼロだったのはかなり痛手だ。今回と同じく6チーム中2チームに出場権が与えられたロンドン五輪予選は、2位が勝ち点11、3位が勝ち点9。つまり3勝1分け1敗の勝ち点10を挟んで明暗を分けた。
おそらく今回も、2敗したチームが2位以内に入ることは難しい。日本を破るチームがもう一つ現れれば、そのチームとオーストラリアがリオへ行くことになるだろう。なお、日本戦以外の初日の結果は、中国がベトナムに2−0で勝利、韓国対北朝鮮は1−1の引き分けとなった。
試合後に宮間は、次の韓国戦までの中1日でチームをどう修正するかと問われると、「修正よりも、自分たちが今までやってきたことを信じることのほうが、より大切かもしれない」といった主旨の発言をした。このコメントは強がりでなければ、「敗因は実力不足ではなく、実力を出せない試合運びをしてしまったこと」という意味に捉えられる。
宮間の意思をくめば、なでしこは次戦以降、試合をやりながら相手の意図を察知し、展開を先読みしてベストなプレーを選択することが、4大会連続となる五輪への道を切り開く手だてとなる。攻略の糸口さえ見つけられれば、あとは実行するだけで結果がついてくる。