まだいる、リーグアンの若手有望選手たち
ユーロ2016代表に食い込むのは誰か?

バラン、ポグバ……若手も主力のフランス代表

フランス・リーグアンで注目を集めているリヨンの攻撃的MFフェキル
フランス・リーグアンで注目を集めているリヨンの攻撃的MFフェキル【Getty Images】

 以前ほど話題にのぼらなくなったとはいえ、フランスは今も静かに、有能な若手を輩出し続けている。そしてその中の何人かは、早々とキャリアを築きつつある。ディディエ・デシャン監督のフランス代表を見ても、まだ22歳のラファエル・バランがすでにディフェンスの要に定着し、同じく1993年生まれのポール・ポグバも、いまや中盤の欠かせない駒となった。


 デシャン監督は、若い選手に対しオープンだ。2015年後半には、今季からマンチェスター・ユナイテッドに参入したFWアンソニー・マルシャル、現バイエルン・ミュンヘンで、パリ・サンジェルマン(以下PSG)下部組織出身のキングスリー・コマンなど、二十歳そこそこの選手たちも、テストのために呼び寄せられた。


 飛び抜けた才能を持つ若手は、早い時期に海外のビッグクラブによって青田買いされる傾向があり、前述の4人は、すでに国外の名門クラブでプレーしているのが現状だ。しかし、フランス国内にもまだ、ユーロ(欧州選手権)2016行きを狙える若い選手たちはいる。その中でも、昨年から特に注目を集めているのが、リヨンの攻撃的MF、ナビル・フェキルだ。

今回のユーロが無理でも、将来が楽しみなフェキル

フェキルは昨年9月に右ひざを負傷し、復帰は3月になる見込みだ
フェキルは昨年9月に右ひざを負傷し、復帰は3月になる見込みだ【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 昨季、リーグアンの最優秀新人賞を授かったフェキルは、アルジェリアとフランスの二重国籍を持つ。デシャン監督が早期の招集をためらわなかったこともあり、彼は昨年フランス代表を選択し、このニュースは、サッカー好きな国民を大いに喜ばせた。


 ところが、代表での可能性を証明する間もなく、昨年9月のポルトガル代表戦の際に、フェキルは右膝の靭帯断裂という大けがを負ってしまう。復帰は、早くてこの3月と言われているだけに、夏のユーロに招集されるか否かは微妙なところだが、五体満足であれば、若き新顔の中でも一番招集確率の高いはずだったのが、彼なのだ。


 フェキルはサイドアタッカーとしても、中央のプレーメーカーとしてもプレーできる。足元の技術、ボールさばきの自在さゆえ、ハテム・ベン・アルファと比較されることもあったが、より他の選手を生かし、仲間とのコンビネーションでゴールを狙うことが身についている選手であり、その点で、“独演家”と悪名高かった先輩とはかなり違っている。


 フェキルは、ボールを取ってから、シュートあるいはパスを出す判断と実行の速さで、高い評価を得ている選手でもある。昨季は、自身13ゴールを挙げた他、アシスト数のランキングでもリーグ3位に。昨季のリーグアンの最優秀選手賞は、フェキルのアタック・パートナー、アレクサンドル・ラカゼットの頭上に輝いたのだが、ラカゼットが得点王になったのも、リヨンが2位になったのも、フェキルの貢献によるところが大きい。彼が故障で不在となった今季、前半戦のリヨンが長く不振に苦しんでいたのも、偶然のことではないだろう。


 視野が広く周りの選手と連動し、他の選手をうまく使えるという意味で、彼はジネディーヌ・ジダンのような能力も備えている。もちろん、クリエーティビティーという意味ではジダンほどではなく、動きのリズムはより規則的で速いため、イメージは大分違うが、22歳という年齢を考えれば、秘めた可能性は底が知れない。それゆえ、彼の故障は、クラブだけでなく代表にとっても非常に痛い事故だった。


 ちなみに24歳と、もはやユース年齢ではなくなった前述のラカゼットにとっても、今年のユーロはシニアとして初の大舞台。いわゆる点取り屋だが、ドリブルもうまく、スピードと正確なシュートを持つ彼は、オールマイティーなアタッカーと評価されている。私生活で問題を起こした主力FW、カリム・ベンゼマの招集にまだ疑問符がついている今、ラカゼットが代表でもその実力を証明して見せる日が、フランス国内で心待ちにされている。

木村かや子

東京生まれ、湘南育ち、南仏在住。1986年、フェリス女学院大学国文科卒業後、雑誌社でスポーツ専門の取材記者として働き始め、95年にオーストラリア・シドニー支局に赴任。この年から、毎夏はるばるイタリアやイングランドに出向き、オーストラリア仕込みのイタリア語とオージー英語を使って、サッカー選手のインタビューを始める。遠方から欧州サッカーを担当し続けた後、2003年に同社ヨーロッパ通信員となり、文学以外でフランスに興味がなかったもののフランスへ。マルセイユの試合にはもれなく足を運び取材している。

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