【UFC】マクドナルドからの金星狙う金原正徳 「1試合1試合、最後のつもりで」

WOWOW
 日本時間の2016年1月3日、米国ネバダ州ラスベガス、MGMグランド・ガーデンアリーナで行われる『UFC195』で、金原正徳vs.マイケル・マクドナルドの一戦が決定した。金原はここまでUFC1勝1敗、バンタム級ランキング8位でタイトルマッチ経験者であるマクドナルドとの試合は、大きなチャンスであると同時に、前回のハニ・ヤヒーラ戦で敗れているだけに、負けられない一戦でもある。

 この大一番に挑む金原に意気込みを聞いた。

今までやってきたすべてをぶつける時が来た

1月3日にMGMグランド・ガーデンアリーナでマイケル・マクドナルド戦に臨む金原正徳 【(C)Photo Courtesy of UFC】

――UFC3戦目となる『UFC195』は、大一番になりましたね。

 そうですね。でも、前回の試合(ハニ・ヤヒーラ戦)が大一番じゃなかったかといえば、そういうわけではないし。自分の中では、1試合1試合が毎回大一番だと思ってますので、意気込みは前回と変わらないですね。

――でも、今回の対戦相手マイケル・マクドナルドは、トップ10ランカーでタイトルマッチ経験者。2年のブランクがあるのでランキング自体は少し下がりましたけど、事実上、バンタム級トップクラスと言っていい選手です。この対戦オファーが来たときは、どんな心境でしたか?

 まあ、彼の試合映像は何度も観たことありますけど、本当に強い選手ですし、マネージャーから連絡が来たときは、「マジかよ!?」と思ったのが正直な気持ちですね。それでマネージャーから「やるもやらないも、決めるのはおまえだ」って言われたんですけど。やっぱり自分として、まず頭に浮かんだのは、連敗するとリリースされてしまうんじゃないかという危機感ですよね。

――前回のハニ・ヤヒーラ戦は、僅差の判定負けでした。

 この崖っぷちに立たされている中で、次の相手が強敵ということなんで。UFCでは誰と闘っても強敵には違いないんですけど、やはりマイケル・マクドナルドという名前を聞くと、ちょっと悩んだりはして。そのとき、マネージャーから「強いヤツとやるために、ここに来たんじゃないのか?」って言われたんですよ。考えてみれば、それもそうで。自分もそう若くはないし、もう経験を積むということで考えれば、十分強いヤツとたくさんやってきてるので。そういう意味で、集大成ではないですけど、今までやってきたことをすべてぶつける時が来たかな、という感じではありますね。

――金原選手はUFC3戦目ですけど、これまで戦極、DEEP、ZSTなど、多くの舞台で実績は積んできました。

 だから、今回の対戦相手は強いですけど、じゃあ、今まで自分がやってきた相手が弱かったというわけではないですし。次の相手がこれまでで一番強いかと言われれば、そんなこともないと自分では思ってて。僕はこれまで、本当に強い相手としのぎを削って、今この場所にいると思っているので、そのへんは自信を持って闘っていきたいと思いますね。

――金原選手は現在33歳。まだまだ、これからの年齢のようにも思えますが、キャリアはすでに12年ということで、今闘っているUFCが集大成という思いもあるわけですか?

 やっぱりこの年齢だと、大きいケガをしたら、いつそれが最後になってもおかしくないってことが自分でも分かっていますし。こういう環境で、今と同じような練習をあと何年できるかも分からないので、自分の中では、これが最後のチャンスだと思っていますね。そのために、今必死にやってるんですけど。

前回ポイントゲームをしてしまった反省を活かす

――ただ、今の自分が一番強いという自負もあるんじゃないですか?

 それは本当にあるんですよ。年齢を重ねると、練習後の疲労度が昔とは違ったりすることはありますけど、それ以外の部分では、技術も伸びてると思いますし。あとは、自分を一歩引いて見ることができるようになったので、そこが大きいですね。

――自分自身のことが分かるようになったと。

 そうですね。だから昔だったら、決められた練習を頑張ってこなす感じだったんですけど、今は「これ以上やったらパンクするな」と感じたら、ちょっと休んだりとか。今日はこの練習をやったほうがいいとか。融通が利くようになったので、そういう意味で大人になった気がしますね。自分を客観的に見られるようになったのは、大きいと思います。自分のいい部分、悪い部分が分かるようになったし。前回の試合の反省する部分、改善しなければならない部分も分かったので、今は前回とは違った方法で取り組むようにもしてますね。

――前回と違った方法というと、フィジカル強化に力を入れているらしいですね?

 はい。これまで打撃、レスリング、柔術は、ひと通りやってきたので、その部分がこれから飛躍的に伸びるっていうのは、ちょっと考えにくいと思うんですよ。なので、自分のなかで唯一、これまでしっかり取り組んでこなかったのがフィジカルだったので。前回の試合からそんなに間をおかずに、そこに取り組んできましたね。

――前回のハニ・ヤヒーラ戦は本当に僅差、非常に微妙な判定でしたけど。そこでパワー差を感じた部分もあるんですか?

 いや、そうではないです。あの試合に関しては、すべてが想定内ではありました。でも、あの試合では、自分の中でポイントゲームをしてしまったのが、いけなかったと思うんですよ。勝敗を分けたのは2ラウンドだったんですけど、自分では2ラウンドを取ったつもりでいて、でも、実際にはヤヒーラに付けたジャッジの方が2名いたんですね。それで3ラウンドは、「テイクダウンさえ取られなければ勝てる」と思って、積極的に仕留めにいかなかった。結果的にそれが敗因だったので、次の試合ではもっと積極的に自分から勝利を奪いにいこうと思っていますね。

――勝敗はジャッジに委ねるな、ということですね。そういう負け方って、完全な負けより悔いが残るんじゃないですか?

 まあ、そうですね。試合後、相手は病院送りになって、自分は殴ったヒジは痛かったですけど、ダメージはなかったので、「もっとがむしゃらに攻めていれば……」っていう悔しい思いはあったんで。でも、それを引きずってもしょうがないので、この敗戦を無駄にしないで、次に活かしていくしかないですね。

――次の試合はUFC1勝1敗で迎える試合ですから、とくに重要ですもんね。

 でも、さっきも言ったように、もう1試合1試合、最後のつもりでやってるので。勝負の重さは変わらないです。

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