ライト級王者アンジョスに挑むセローニ 高阪剛が語る『UFC』見どころ

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アリスターは再びギアを上げなければ勝てない

アリスター・オーフレイム 【(C)Photo Courtesy of UFC】

――またこの日は、ジュニオール・ドス・サントスvs.アリスター・オーフレイムという、注目のヘビー級マッチが組まれていますけど、この一戦はいかがでしょうか?

 アリスターが前回、ロイ・ネルソンとやった試合(2015.3.14『UFC185』、アリスターの判定勝ち)をあらためて見たんですけど、よく言えば、「UFCでの試合のやり方をようやく覚えてきたな」という印象を持ったんですよ。

――アントニオ・シウバ、トラヴィス・ブラウンに連続TKO負けを喫したあとのフランク・ミア戦(3−0判定勝ち)ぐらいから、モデルチェンジをしてきてる感じがありますね。

 以前のように1ラウンドから一気に攻めていくのではなく、うまくペース配分を考えて、要所要所でヒザ蹴りや前蹴りを出しておいて、「これ以上近づいたら、食らうぞ」という釘をさすという。ただ、爆発力に関してはどうなのかなっていうのが、ネルソン戦なんかを見るかぎり、疑問に思ったんですよ。

――かつてのアリスターの最大の強みであった爆発力を失って、魅力が削がれてきている感はありますよね。

 判定でも勝てるようにするために、ああいう闘い方にしてるんでしょうけど、倒しにいくことを考えると、もうちょっとギアを上げてもいけるんじゃないかと、自分は見ていて思ったんですけどね。アリスターはミアとネルソンに判定で勝ってますけど、それはスタミナが保つようになったというより、ペース配分をコントロールすることによって、ガス欠を防げるようになった印象があるんですよ。いまさらアリスターがスタミナを飛躍的に上げるのは無理だろうから、それはそれでいいんだろうけど、もうちょっとギアを上げても、最後まで保つと思うんですけどね。プラス、どこかでメリハリをつけて、要所要所で爆発力で倒しにいくという力も持っていると思うので。そういうアリスターの持つ爆発力を出していかないと、やっぱりドス・サントスには勝てないですよ。

――ローギアでペース配分して、判定勝ちできるような相手じゃないと。

 そうなんですよね。自分はアリスターとはリングス時代から付き合いが長いし、よりアリスター目線で見てしまうというか、解説抜きで言えば「勝ってほしい」ぐらいに思ってしまったりもするんですけど(笑)。
 でも、ドス・サントスっていうのは、高いギアのまま5ラウンドやっちゃうような選手なので。アリスターも要所要所で100パーセントの攻撃を浴びせないと、ドス・サントスは止まってくれないと思うんですよね。逆にドス・サントスのほうは、相手がちょっとでも気を緩めた瞬間を察知する嗅覚というものに長けている選手なので。そこを突いてくるはずなんですよ。そこをやられちゃうと、アリスターも厳しいですよね。

ジュニオール・ドス・サントス 【(C)Photo Courtesy of UFC】

――あのタフなマーク・ハントも、足が止まったところに、もの凄いバックスピンキックを入れられて、KOされましたからね。

 ドス・サントスって、また後ろ手のアッパーがもの凄く強烈なんですよ。で、アリスターは相手がラッシュしてくると、ブロックしながらちょっと時を待つみたいなことをするじゃないですか。でも、あのブロックの仕方だと、アリスターはガードの隙間をアッパーで抜いてくると思うんですよ。さらに強烈なボディブローも持っているし。そうやってアリスターが緩んだ瞬間に、ドス・サントスは総攻撃を仕掛けてくるんじゃないかと思うんですけどね。

――では、アリスターがペース配分を考えて、ローギアで闘っていたら、逆に一気に秒殺KOされてもおかしくない、ということですね。

 そうならないためにも、アリスターが要所要所で全開の攻撃を見せて、ドス・サントスに「こいつはヤバいぞ」と思わせることが、ものすごく重要になってくると思いますね。

――また、アリスターの最大の強みはそこですもんね。「あんな攻撃を食らったらたまったもんじゃない」と思わせて、相手が下がることで、試合を優位に進められるという。

 そうですね。だから、ペース配分もいいんですけど、しっかりとポイント、ポイントで自分の獣性を出せるかどうか。それができるのであれば、アリスターの爆発力というのは誰でも倒す力があるので。そこを見せてほしいですね。

(取材・文:堀江ガンツ/WOWOW UFC解説者)

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【放送日】12月20日(日)午前10:00〜[WOWOWライブ]※生中継

<主な対戦カード>
ライト級タイトルマッチ:ハファエル・ドス・アンジョスvs.ドナルド・セローニ
ヘビー級:ジュニオール・ドス・サントスvs.アリスター・オーフレイム
ライト級:マイケル・ジョンソンvs.ネート・ディアス

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 初防衛に成功したウェルター級王者、ロビー・ローラーが元暫定王者コンディットを相手に2度目の防衛戦。日本の金原正徳が強敵マイケル・マクドナルドと激突する。

【放送日】2016年1月3日(日)午後0:00〜[WOWOWライブ]※生中継
ゲスト:中村K太郎(UFCファイター)

<主な対戦カード>
ウェルター級タイトルマッチ:ロビー・ローラーvs.カルロス・コンディット
ヘビー級:スティーペ・ミオシッチvs.アンドレイ・アルロフスキー
バンタム級:マイケル・マクドナルドvs.金原正徳
バンタム級:ジョー・ソトvs.田中路教

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