浅田真央は再び“進化”できるのか GPファイナル最下位から得た手応えと課題

長谷川仁美
 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが現地時間12日、スペインのバルセロナで行われ、女子の浅田真央(中京大)はショートプログラム(SP)、フリーともジャンプにミスが出て合計194.32点と6位に終わった。

NHK杯で気がついた反省点

まさかの6位に沈んだグランプリファイナル。世界選手権への出場権を左右する日本選手権まで、残された時間は少ない 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

「技術においても、スケートに対する気持ちにおいても、もう一度しっかりあらためて見直しなさいってしてくれた試合」

 NHK杯を振り返った浅田は、そう語った。「1戦目、2戦目は、『自分がスケートをしたくて戻ってきたんだ』って気持ちがあったんですけど、(シーズンが進んでいき)試合になるとどうしても最初にあった気持ちがなくなってきて、考えすぎたり、試合で集中しきれてなかったり」。そんな自分に気がついた。

「自分が望んで戻ってきた選手(生活)なので、自分の目指すものをただやるだけ、やるしかない」と気持ちを決め、GPファイナルでは「技術はもちろんだけど、自分が表現したいものを皆さんに見せられたら」と考えた。そのためNHK杯からGPファイナルまでの1週間は、プログラムの通し練習を重点的に行い、プログラムとしての表現を追い求めてきた。同時に、技術面の見直しとして、ジャンプ練習の量も増やした。

3位でも手応え感じたSP

ショートプログラムはジャンプの失敗が響き3位。それでも手応えを感じたという 【坂本清】

 12月11日、GPファイナルのSPに登場した浅田は、たくさんの日の丸と歓声に迎えられる。跳ねるように始まった『素敵なあなた』では、冒頭のトリプルアクセルを軽やかに決め、3回転フリップ+3回転ループも着氷。会場は大きく沸いた。ルッツが1回転となったものの、テンポが次第に速まっていくステップシークエンスでは心地よい動きで跳ねた。
 結果は69.13点で3位。3回転+3回転はいずれも回転不足と判定され、1回転となったルッツは規定違反で0点となったものの、スケート技術や曲の解釈などを採点する「プログラム構成点」は1位だった。

「1つミスをしたのが悔やまれるけど、自分の演技自体は悪くなかったので、良いスタートになりました」。トリプルアクセルに関しては、「良いジャンプを跳べました。自信を持っていいのかな」と感じた。ただ、「ルッツに関しては、今シーズンからしっかりアウト(エッジ)で跳べるようになって、ようやく自分で手応えを感じているところで、まだ練習でも確率が上がっていないので試合に出てしまうんだな」と反省の弁。

 一方で、こうも考えていた。
「良いときも悪いときもある。(けれどそれが)演技には影響していないと思います。こんな感じでやればいけると分かりました」
 SPでは、ある程度の手応えを感じた。

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著者プロフィール

静岡市生まれ。大学卒業後、NHKディレクター、編集プロダクションのコピーライターを経て、ライターに。2002年からフィギュアスケートの取材を始める。フィギュアスケート観戦は、伊藤みどりさんのフリーの演技に感激した1992年アルベールビル五輪から。男女シングルだけでなくペアやアイスダンスも国内外選手問わず広く取材。国内の小さな大会観戦もかなり好き。自分でもスケートを、と何度かトライしては挫折を繰り返している。『フィギュアスケートLife』などに寄稿。

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