浅田真央は再び“進化”できるのか GPファイナル最下位から得た手応えと課題
失速のワケは「気持ちの部分」
「目指す演技にはまったく遠いと思います。気持ちの部分でなかなか難しいです。本番になると空回りして。心と体と技術が3つそろわないといけないけれど、今の私にはすべて足りないと思います」。目指してきた「自分が表現したいもの」を見せることはできなかった。「失敗したくない気持ちが強すぎるから、空回りしているんだと感じます。集中力もまだまだ。気持ちの部分以外には、特に(問題は)ないです」
ジャンプミスが気持ちに影響し、それが次のジャンプに波及してしまったのだろう。SPでは得られたある種の手応えが、フリーでは感じられなかった。
実は、フリー当日の数時間前から体調を崩していたという。浅田はそれをフリー不調の理由に挙げなかったが、その後、胃腸炎と診断された症状により、翌日のエキシビションを欠席した。
失敗から進化する 浅田真央の戦い方
とはいえ、ミスはミス。試合で失敗をして、課題を見つけ、また新たな気持ちで次の演技に臨んでいく。これまでも浅田は、そうやって戦ってきた。
バンクーバー五輪後の2シーズンほど、そしてソチ五輪の約2週間、つらい時期に気持ちが揺らぎながらも、真っすぐスケートに向き合い続け、いつしか、そこを抜けて進化した姿を必ず見せてきた。今の浅田も、「自分がどうなっていきたいのかは分からないけど、自分が目指すものをとことんやっていくことが自分のやりたいことなんじゃないかな」と、スケートへ真摯(しんし)に向き合う姿勢は変わらない。
次の試合は、12月25日に開幕する全日本選手権(北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)。この大会の後、シーズン後半の世界選手権などへ向けた日本代表選手が決まる。そのため浅田は、「演技構成の変更も考えないといけない」としているが、一番の課題は、確かな気持ちを持って試合に臨むことだ。「日々の練習が自信につながる」と本人が語るように、これからも毎日スケートと向き合って、1日1日を積み上げていく。そうやって一歩一歩前進した道の先に、心と体と技術の3つがそろった演技があるはずだから。その時期は、約2週間後の全日本選手権なのかもしれないし、もっと先かもしれない。いつかはまだ見えないが、たどり着くそのときに向けて、浅田はまたいつものように、真摯にスケートに向き合いつづける。