オランダが女子サッカーにかける本気度 なでしこたちが感じた危機感と違い

中田徹

2戦連続での2点差ゲーム

なでしこジャパンは、オランダに2戦連続での2点差ゲームで完敗を喫した 【Getty Images】

 日本女子代表は11月26日にオランダと非公開試合を行い、0−2で負けていた。その翌日、ホールンの練習場で佐々木則夫監督は、オランダ女子代表の将来性について、こう感想を述べていた。

「オランダは大柄な選手がいるからといって、どんどん蹴るサッカーをするのではなく、しっかりボールを動かしてモダンなサッカーにトライしています。あんな大きな人たちが、本当にスキルがあって守備も連携されている。この先、日本はどうやって戦えばいいんだというぐらいの取り組みをしている。今は(ボールが)引っかかって危ない場面を作るかもしれないけれど、これを続けていけばやっぱり将来は怖いですよね」

 その3日後、両国は再びフォーレンダムで顔を合わせたが、とりわけ前半のオランダは、GKを使った最後尾からのビルドアップにトライしていた。中には自陣でのかなりリスキーなパスや、技術的なミスもあって、危うく失点しそうな場面もあったが、取り組もうとするサッカーの姿勢は示すことができていた。

 そしてオランダ女子代表にはMe(マノン・メリス)−Mi(フィフィアネ・ミーデマ)−Ma(リーケ・マルテンス)ともMMMとも呼ばれる強烈な3トップがいた。日本戦ではミーデマは不発に終わったものの、メリスはオランダ女子代表歴代得点王(57ゴール)の貫禄を見せて2ゴールを挙げ、マルテンスは1ゴールを決めた他にPKをゲットする活躍をした。オランダが作ったチャンスは少なかったが、“一撃必中”の効率だった。日本が1−3で敗れた後、佐々木監督は「この間のフランス戦もそうでしたが、最近のオランダはシュートがゴールにすごく吸い込まれていくようです」と苦笑していた。

決定的なチャンスを多く作り出すオランダ

「チャンスを作るのがうまい」とオランダとの差を語った大儀見 【Getty Images】

 一方、日本は数多くのチャンスで決め切れなかった。大儀見優季は振り返る。

「オランダは可能性の高いチャンスを作れていると思うんですよ。結局、どのシュートもフリーで撃っているじゃないですか。そういうチャンスを日本はほとんど作れていない。オランダはそういうチャンスを作るのがうまい。そこの差だと思うんですよね」

 非公開の試合でも、日本の方がボールを保持できていたらしい。それでも、遠征が終わってみれば、日本にとっては2点差の負けが2つ続いた。大儀見は言う。

「ボールを支配していても、それが良い試合だとは自分は思わない。いかに決定的なチャンスを作り出せるかが差。オランダはチームとして洗練されていますから、そこがうまいです。日本は狙って出すパスが本当に多いですけれど、オランダは味方の位置を見ないで出してくる。だから、攻撃がスムーズ。(オランダの)男子のサッカーと一緒ですよね。幼い頃から(オランダ風サッカーを)やっているからかもしれませんけれど、(オランダのサッカーとして)決まりごとがあって全部プレーが自動化されるから、判断がいらないサッカーになり、よりスピーディーなサッカーになる」

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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