ラグビーW杯の撮影は「なんて幸せ!」 すべての人が楽しめるスタジアム

志賀由佳

スタジアムの外でも盛り上がりは続く

スタジアムの外でもビール片手にラグビー談議が続いています 【Photo by Yuka SHIGA】

 アルゼンチン対ジョージアを撮りに行った際も、スタジアムの外でサポーター同士の歌合戦が始まり、向こうが歌ったらこっちも歌い、テンションが上がってそのままスクラムを組んでいました。アイルランド代表が勝利した後も、帰りながら誰かしらが歌い出し、歩きながらの大合唱が始まりました。

 ジミーさんが言う通り、歌は大事です! 野球には「六甲おろし」や「燃えよドラゴンズ」があるのに、なぜラグビー日本代表には歌がないのか! 歌があったらもっと観戦が楽しくなるのに! と「スウィングロー・スウィート・チャリオット」を熱唱するイングランドサポーターを見ながらうらやましくなりました。ただ関係のない日本代表対サモアなどで歌い出した時は「空気を読め!」とも思いましたが……。

選手が「浮き上がる」写真に

ピッチが明るく、スタンドが暗いために選手が浮き上がる写真に。イングランドはこのあと、まさかのグループリーグ敗退となりました…… 【Photo by Yuka SHIGA】

 そんなこんなで試合が始まり、いざファインダーをのぞくと――明るい! キックオフが20時だったので、どっぷり夜なのですが、ナイターでこんな明るいスタジアムは初めてです。ピッチは明るくスタンドは暗く沈むため、選手が美しく浮き上がり、自分の写真がうまくなったような錯覚に陥ります。「こんなスタジアムで毎回撮影できたらなぁ」と今だけの幸せをかみしめながらシャッターを切りました。

 毎試合8万人に囲まれたスタジアムでプレーする選手たちも、その選手たちのプレーに一喜一憂する観客も、その一喜一憂を報道するメディアも……、その場にいる人すべてが楽しめる環境がトゥイッケナムにはあり、それが「なんて幸せなんだ!」という心の叫びになりました。

4年後の日本大会に向けて

ファンと選手が近いのもラグビーの良さ。4年後の日本大会はどのような大会になるでしょうか? 【Photo by Yuka SHIGA】

 2019年には日本でラグビーワールドカップが開催されます。4年前にニュージーランドで開催されたワールドカップを取材した時は、オークランドのメインストリートを埋め尽くす大盛り上がりのサポーターを見て、8年後に日本でこのサポーターを受け入れる土壌ができているのか不安しかありませんでした。
 でも今大会の日本代表の活躍で、今までラグビー関係者やファンの方たちが個々で耕してきた土壌に一気に種がまかれたんじゃないかと思います。
 あと4年。仲間を信じること、最後まで諦めないこと、そして日々の努力は決して裏切らないことを世界を舞台に証明してくれた、日本代表の選手たちがまいてくれた種を、大事に育てていければいいなと思います。

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