山本昌、50歳での最終登板へ意欲 「最後が途中降板は嫌」引退会見全文

ベースボール・タイムズ

3ボールからの途中降板で終わりたくない

今季初の1軍登板となった8月9日ヤクルト戦は2回途中で降板となった 【写真は共同】

――この引退はどのように報告したい?

 報告はほとんど終わっていますし、報告するのがつらい方もいました。でも、みんな「よく頑張ったね」と言ってくれましたので。本当に恩師ばかりで感謝してもしきれないと思っています。

――アイクさんにはどのように報告するか?

 現地に飛んでゆっくり話をしたいと思います。日にちは内緒ですけど(笑)。

――今後は評論家として活動?

 どうなんですかね。自分で決めているだけなんですけど(笑)。引退を発表して1週間も経っていないんですけど、その割にはいろいろな話をいただいているので、そうなるんじゃないかと推測しています。

――どのような観点で野球を見ていくのか?

 投げること以外は素人ですので。投げることに関しては32年間、精いっぱい勉強したという自負がありますので。野球全般のことは意外と知らないのかと思います。またユニホームを着るチャンスをいただけるような勉強をしていきたいと思います。

――50歳登板の可能性は?

 あとは広島戦が2試合残っていますが、広島はCS(クライマックスシリーズ)争いの真っ最中ですので、軽々しく自分のことを言うことはできません。ただ、もし決着がついてお許しをいただけるのであれば、全力では投げられませんけども、もう一回マウンドに立ちたいです。なぜかと言うと、32年間の最後が前回の3ボールでの途中降板では嫌で、せめて結果が残った上で終わりたいというのを球団の方にはお願いをしました。どういう結末になるかは分かりません。

――ファンは指導者として今後に期待するが?

 今は知識もありませんので。しっかりと勉強をしてそういう機会があれば、これからのドラゴンズの力になれるなら、精いっぱい勉強したいです。そういうチャンスがいただけるように頑張りたい。

――中日ドラゴンズへの思いは?

 指名してくれたのが中日ドラゴンズで本当に良かったです。おそらく、間違いなく他のチームだったら、ここまでできなかったと思います。それは名古屋、東海地区の温かい気質のファンの方たちに囲まれて、いつも温かい声援をいただいて野球ができたとことに感謝しかないですね。

――ファンへのメッセージは?

 スカッとするピッチングができるわけではないですし、つかみどころがなくて、長くやっているだけだったかもしれませんが、僕としてはたくさんの声援をいただいて感謝しています。これからもドラゴンズのことをよろしく頼むと。みなさん応援してくださいとお願いしたいですね。また僕が(ユニホームを)着るようなことがあれば、応援をよろしくお願いしますと、今日はそう言っておきます。

後輩へ「チャンスはそんなに多くない」

――米国留学で勝つことを一番に学んだ、そして今のチーム状況で辞めることへの葛藤は?

 すごくありました。私が入団してから3年連続でBクラスは初めてなんです。大きく変えないとダメで、大きく変わらないとダメだと自分の中に思いがありました。邪魔になっちゃいけないと思いました。やり残したというか、なんとかもうひとつ、しがみついてでも勝ちたかったとは思いますが、今年一年チャンスをもらってこの結果だったので、これは自分でけじめをつけて。チームがこれから立ち直って、また優勝争いをやることが普通のチームになっていってほしいという思いで決断したことですね。

 やりきったという気持ちと、もうちょっとだったという気持ちが交錯しています。悔いはすごくありますけど、後悔はしていません。やりたかったこと、もっとできたと思うことはたくさんあるんですが、そのときそのときで「きっと僕は一生懸命やったんだ」と思っていますので後悔はしていません。でも、もっとやれたな、もっとこういうふうにしておけばよかったという悔いはありますね。

――ご自分の後悔の部分を後輩に伝えるとしたら?

 やれるときにしっかりやる。チャンスというのはそんなに多くないんだよということは後輩たちに伝えたいですね。勝つときは勝つ、優勝するときは優勝する。自分が伸びるときはそんなに多くないので。そこをしっかり自分で見極めて頑張っていってほしい。大体の選手は“あのとき”というのは後になって気づきます。常にそういう準備をしておけばきっと悔いも少なく済むと思います。後輩たちには野球をしている時間はそんなに長くないんだよと。僕は32年間やりましたけど、そんなに長くやったと思っていませんので。後輩たちには一瞬、一瞬を一生懸命頑張ってもらいたいと思います。

――苦楽を経験した野球への思い、変遷などは?

 僕は中学のときに野球部に入って高校も野球部で、ドラゴンズも野球部みたいなものですから(笑)、来春から新社会人になるという思いが強いですね。32年、もっと言うと小学校3年生のときに野球チームに入りましたから40数年。野球を辞めたいと思ったことは1回もないですね。野球を辞めるという選択は今回が初めてです。野球を辞めたいとも逃げたいとも思ったことがありません。

 ただ幸せだったのは、小さい頃から50歳になるまでそういう考えで同じ気持ちで野球ができたことが逆に良かったのかなと。子供っぽいまま、ずっと野球に向き合えたことがここまでできた要因だと思っていますので。自分の中で誇らしいことだと思っています。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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