中畑DeNAが繰り返した同じ過ち 前半戦首位から急降下しBクラスに――

ベースボール・タイムズ

交流戦、後半戦で大きく失速したDeNA。12球団で最後となったCS進出へ課題は多い 【写真は共同】

 1998年以来、17年ぶりの優勝へ―――。そんな希望に満ちたせりふも、今となっては遠い過去のものになった。前半戦首位ターンからの急降下。優勝争いが佳境を迎えた中、いま一度、横浜DeNAの2015年を振り返ってみたい。

ジェットコースターのようなシーズン

 中畑体制4年目は、まるでジェットコースターのようなシーズンだった。開幕から対戦が一巡した段階で9勝6敗の貯金3。その後に7連敗を喫したものの、4月22日から5月24日の交流戦前までの約1カ月間は20勝7敗の快進撃。3度の5連勝を飾り、「春の珍事」とやゆされながらも、堂々たる戦いぶりで首位快走を続けた。

 しかし、交流戦に入って大失速。6月3日から1引き分けをはさんで泥沼の10連敗を喫するなど、交流戦3勝14敗1分けでダントツの最下位に沈み、最大11あった貯金を見事に使い果たした。リーグ戦再開後も悪い流れを引きずって借金4を抱えたが、7月12日の東京ヤクルト戦を三浦大輔の好投で手にすると、翌13日からの本拠地での巨人3連戦で3連勝。前半戦終了時に借金を完済すると同時に、交流戦でのセ・リーグ球団の低迷ぶりも相まって、日本一に輝いた98年以来の首位ターンとなった。

「98年以来」。その言葉に、いや応なく地元の期待は高まった。しかし、夢はあっという間にしぼむ。後半戦スタートからいきなりの4連敗で一気に順位を4位まで下げると、7月20日から8月31日まで12勝24敗と低迷し、“勝負の9月”を迎える前の8月26日には、ついに最下位へと転落した。

エース不在が招いた投手陣の崩壊

 首位から最下位。急失速の原因はさまざまあるだろうが、最も大きかったのは先発投手陣が総崩れしたことだった。

 昨季は久保康友の12勝6敗を筆頭に、井納翔一が11勝9敗、モスコーソが9勝9敗、山口俊が8勝5敗と、先発ローテの4投手で計40勝をマーク。長らく課題としていた「先発投手の整備」に一定のメドが立つとともに、今季はこの“先発4本柱”に対する期待が大きかった。だが、結果は誰一人としてローテを1年間守ることができず、久保の8勝がチーム最多。その久保も規定投球回数には到達せず、8月26日に出場選手登録を抹消された。

 その事実は“エース不在”を物語る。現時点でセ・リーグの規定投球回到達投手は13人いるが、DeNAは0人。それにより中継ぎ陣が1年を通じてフル回転を強いられ、開幕からセットアッパーとして活躍した田中健二朗が7月16日に登録抹消、エレラも9月に離脱し、ファーム生活が続いている。

 先発投手の防御率3.98、QS率(6イニング以上、自責3以内)は50.7%でともにリーグ最下位。それでも首位・ヤクルトの数字(先発防御率3.66、QS率51.1%)とはそれほど差がなかったが、そのダメージに中継ぎ陣が耐えられず、救援防御率はヤクルトの2.62に対して、DeNAは3.43(成績はすべて9月28日現在)。
 山崎康晃という新守護神を手にしながら、結果的には投手陣の崩壊がV逸並びに下位転落の大きな要因となった。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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