中畑DeNAが繰り返した同じ過ち 前半戦首位から急降下しBクラスに――
固定できないセンターライン
守りの中心であるバッテリー、二遊間でほころびが後半戦のDeNAには多く見られた 【写真は共同】
まず、正捕手がいない。開幕当初は黒羽根利規を正捕手として使い続けていたが、4月後半から黒羽根、高城俊人、嶺井博希の3人を日替わりで起用。8月以降は嶺井をスタメンで起用し続けているが、まだまだ信頼は置けない。3選手ともに若く、年々成長しているのは事実だが、今季はバッテリー間でのミスも多くみられ、9月27日時点でセ・リーグワースト記録となる67暴投を記録。さらに捕逸の10を合わせた「77」のバッテリーミスは、12球団ダントツの多さだ。そのすべてが得点につながっているわけではないが、まずはミスの数を減らさないことには勝てるチームにはならないだろう。
野手では、石川雄洋が開幕から「1番・セカンド」として奮闘を続け、一時は「不敗神話」が飛び出すほどの活躍を見せたが、7月31日の広島戦で左太もも裏を痛めて翌日に登録抹消。ショートには、ルーキーの倉本寿彦に加え、3年目の白崎浩之や4年目の飛雄馬らを起用したが、いずれも力不足の感が否めないままにシーズン終了。谷繁元信を扇の要に置き、一塁・駒田徳広、二塁・ローズ、三塁・進藤達哉、遊撃・石井琢朗をそろえた98年の内野陣と比べると、非常に大きな力の差があった。
モチベーションを保てない選手たち
「長いシーズン、いろんなことが起こる。調子が落ちたり、けが人が出たり、監督やコーチに怒られたりと……。その中で最後まで同じモチベーションを持って戦えるかどうか。それができなかった」
4番・筒香嘉智の成長や、梶谷隆幸、荒波翔の活躍は来季へ向けても大きな収穫だろう。投手陣でも新守護神・山崎に加え、先発陣にも砂田毅樹、石田健大らの若手が頭角を現した。だが、それ以上に“変えるべきもの”があると駒田氏は厳しく指摘する。
「たとえば、中学の時にすごく勉強のできる学校に行って40人中35位で苦労した子が、高校では少し勉強が楽な学校へ行った。だけど、2年生になった時にはやっぱり35位になっている。どの学校に行っても、結局は自分が楽なポジションに落ち着いてしまう。ベイスターズも自分たちの居心地のいい場所で野球をやってしまっている。そこが問題。そこを変えないと、いつまで経っても勝てない」
球団からは続投を要請されるも、現時点で来季の去就については明言を避けている中畑清監督。どういった体制になるかはまだ分からないが、いずれにしても現状のままでは優勝することは難しい。前半戦首位ターンから得た経験と、優勝争いから取り残された悔しさをバネに、新たなチームを作り上げなくてはならない。