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マインツで評価される武藤のポテンシャル
岡崎の足跡をたどり、さらなる飛躍を

マインツは前進していくクラブ

マインツに移籍した武藤(奥)は、果たしてファンに岡崎を忘れさせることはできるのか
マインツに移籍した武藤(奥)は、果たしてファンに岡崎を忘れさせることはできるのか【Bongarts/Getty Images】

 その瞬間、ファンは既視感を覚えたかもしれない。選手交代を示すボードに掲げられた緑と赤の数字は、ある時は「9」、ある時は「14」だった。テヘランのアザディ・スタジアムで掲げられたボードには「14」、マインツのコファス・アレーナでのそれには「9」とあった。ただし、どちらも意味したものは変わらない。武藤嘉紀のピッチへの投入である。


 ワールドカップ・アジア2次予選(アフガニスタン戦)ではボルシア・ドルトムントMF香川真司との交代だったが、ドイツの地では岡崎慎司の足跡をたどろうとしている。もはや、ブンデスリーガの歴史で最も成功を収めたと言っていい日本人FWの後釜という役目を、マインツで果たそうとしている。


 だが、果たしてこの23歳のFWは人々に岡崎のことを忘れさせることができるのだろうか? 少しずつ分析していってみよう。


 日本代表の遠征への参加は、武藤にとって歓迎すべき変化だったことだろう。サムライブルーの中で武藤はしばし安堵(あんど)の息をつき、彼の新たなホームとなったドイツでの数週間を振り返ったはずだ。マインツでは、新戦力として大きな期待を背負っている。「ポップスター」との呼び声高くFC東京から加入した武藤には、新たなポジションで働くというプレッシャーもまた等しく大きいに違いない。


 代表チームであれば、他の選手にも焦点が当てられる。香川ら名手が中盤に多くいるならば、FWとしての居心地もまた変わってくるだろう。原口元気ら他のドイツ組もこの国でビジネスがどう進められていくかを教えてくれるはずだ。そして岡崎は選んだクラブに間違いはないと太鼓判を押してくれるに違いない。マインツの先輩である岡崎はここでの働きにより、レスター・シティ移籍というイングランドへの扉を押し開けた。マインツは前進していくクラブなのだ。

すぐさま飛躍するということはない

第3節に2ゴールを決めたものの、まだ時間が必要だということをクラブは理解している
第3節に2ゴールを決めたものの、まだ時間が必要だということをクラブは理解している【Bongarts/Getty Images】

 ドイツでのお披露目会見で、武藤は居並んだ記者たちを驚かせた。晴れの席に座った武藤は、ドイツ語で自己紹介したのだ。「ヨシと呼んでください!」。この若武者はフレンドリーに笑って、カメラの前でははにかんだ。


 その1カ月後、武藤はファンとともに喜びを爆発させた。もはやシャイな様子は見られない。3−0で勝利したハノーファー96戦では、早くもドイツに来て初めてのドッペルパック(1試合2得点)を決め、マインツサポーターに歓喜の「フンバ」を歌わせた。


 ブンデスリーガにたどり着いた武藤だが、岡崎のレベルに到達するにはしばらく時間がかかるだろうというのが、ドイツのスポーツチャンネル『スカイスポーツニュースHD』の専門記者、アレクサンダー・ボネンゲルの見立てだ。スポーツナビのためのインタビューの中で、このテレビリポーターは「武藤がドイツで自身を確立するのに、問題を抱えることはないと思う」と話した。「ただ、彼がすぐさま飛躍するということもないと思う」。


 マインツでは、280万ユーロ(約3億7800万円)の移籍金を支払って獲得した若者に対し、大きな期待が寄せられている。一方でクラブは忍耐強く、このアタッカーへの過剰な期待を抑えている。「いきなり岡崎がたどった足跡をすぐさまなぞる必要はないんだ」とボネンゲルは語る。だからこそ、武藤が最初に何らかの問題を抱えようとも、クラブには神経質になる人間は一人もいない。


 親善試合やプレシーズンの様子から今後に期待を抱くことはできたものの、いきなり本当に納得の完成品だったわけではない。ボネンゲルは「彼もすぐにまだ時間が必要だということを認識した」と語る。加入してからしばらくして、本人も「もっとやらなければいけない」といった発言をし、「パスやシュートの精度を向上させなければ」と話していた。一方で、フィジカル面は上がってきたとも手応えを語っている。

ダビド・ニーンハウス & フランソワ・デュシャト
ダビド・ニーンハウス & フランソワ・デュシャト

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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