錦織圭まさかの全米オープン初戦敗退をベイビーステップのエーちゃんが分析!

 昨年、日本中を熱狂させた全米オープン準優勝から1年。錦織圭(日清食品)が2015年のグランドスラムを締めくくる舞台に帰ってきた。そこでスポーツナビでは、週刊少年マガジン『ベイビーステップ』の丸尾栄一郎(エーちゃん)に、全仏オープン、ウィンブルドンに続き、今大会でも解説をオファー。エーちゃん自身も、一度活躍した大舞台で戦う錦織のメンタルには興味があると快諾してくれた。普段からメンタルも含めてエーちゃんを支えている青井竜平コーチとともに、錦織の試合を分析してもらった。

錦織のテニスを封じたペール

錦織の初戦敗退を振り返るエーちゃんと青井コーチ 【(C)『ベイビーステップ』勝木光/講談社】

丸尾 錦織、1回戦で負けちゃいましたね……。

青井 ああ、去年は日本人史上最高の準優勝までいっただけに、期待してたんだけどな。丸尾はどうして負けたんだと思う?

丸尾 いろんな要素があったと思いますが……まず何より相手のブノワ・ペール(フランス)の調子が良すぎて、錦織が自分のテニスをさせてもらえないくらい強かったと思います。

青井 確かに……。あとは?

丸尾 あとは……これは正しいかわからないですが、錦織がペールを調子に乗せてしまった部分もあった気がします。

青井 ほう、それは具体的にどこのことを言ってるんだ?

丸尾 まずは第1セットです。ペールは去年のファイナリスト相手にノンプレッシャーでどんどん思い切った攻撃を仕掛けてきました。それに対して錦織は得意のラリーに持ち込めないだけでなく、やや硬さも見られた気がします。

青井 なるほど。

計り知れない重圧を感じさせたシーン

錦織が攻め急いだと思われる第4セットのフォアハンド 【(C)『ベイビーステップ』勝木光/講談社】

丸尾 あとはやっぱり第4セットのタイブレークです。6−4のダブルマッチポイントでもそれを感じました。ファーストサーブが入って、ペールのリターンをフォアハンドの逆クロスで勝負にいって(図の1)アウトしたシーンです。攻めにいったところはさすがでしたが、これはわからないことですけど、僕には勝負を急いでいるように見えました。

青井 つまり、とにかくペールが良かったんだが、錦織にはペールにはない重圧が不利に働いたかもしれないってことか。

丸尾 はい。だって……あれだけ期待されてグランドスラムの1回戦に臨むって、どんな気持ちなんですかね……。

青井 …確かに、(68年のオープン化以降)日本人史上最高のグランドスラム第4シード。その気持ちがわかる日本人は彼だけだからな。しかも今やこの10年のグランドスラムで聖域のようになってしまったBIG4(ジョコビッチ、フェデラー、マレー、ナダル)に食い込む最右翼とまで言われている。完全にワールドクラスの注目度だ。

丸尾 正直、計り知れません。

シード選手の宿命

まさかの敗退にうつむく錦織 【写真:ロイター/アフロ】

青井 そういえば錦織と、同じくグランドスラムで打倒BIG4を期待されるワウリンカ(スイス)が、最近のテニス雑誌のインタビューで同じようなことを言ってたのが印象的だったよ。

丸尾 え? 何て言ってたんですか?

青井 簡単に言えば、「優勝を意識せず、目の前の試合を自分のプレーをして勝つことだけを考えたい」』って内容だったな。

丸尾 やっぱり期待されることで「どうしても優勝したい」と思ってプレーするのはよくないんですかね。だとすれば錦織はその分不利だったとは言えますよね。

青井 本人は試合後のインタビューで「昨年準優勝の緊張はあったか」という質問に「そうでもない」と言ってたけどな。そこは超一流選手だし、できる限り意識せずに目の前の自分のテニスに集中するようにメンタルをコントロールしてたんだろう。

丸尾 確かに第2セット以降は、だんだん錦織らしいプレーが増えてきました。そこから2セット連取して一時は逆転しましたからね。

青井 ああ、錦織のメンタルの強さは間違いなく世界でもトップクラスだからな。とはいえ完全なる挑戦者のペールと同じ精神状態で試合に入るなんて無理な話だ。それはシード選手の宿命だよ。

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