自信を深めたロンドン大会の予選から4年 実力でリオへ、ブラサカ日本代表の挑戦

瀬長あすか

パラリンピック出場へ、準備は整った

悲願であるパラリンピック初出場へ向けて、9月2日のアジア選手権に臨むブラインドサッカー日本代表 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】

 リオデジャネイロパラリンピックの予選を兼ねたブラインドサッカーのアジア選手権が9月2日、国立代々木競技場フットサルコートで開幕する。2004年アテネ大会で正式競技になって以来、日本はまだパラリンピックに出場したことがない。悲願の初出場へ。20年東京大会の前に、リオがその切符を自力でつかむラストチャンスでもある。

 8月28日に行われた壮行会で「今が過去最強の日本代表」と述べた魚住稿監督は、「ヨーロッパ上位国とも互角に戦える力を備え、パラリンピックに出場する準備は整っている」と自信を見せた。あとは、出場権を手にするのみ。

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(映像提供:日本ブラインドサッカー協会)

「リオに行けるイメージが鮮明に描けている」

 リオパラリンピックの出場枠は8カ国で、すでにホスト国のブラジルと、昨年11月の世界選手権(東京)でブラジルに次いで2位だったアルゼンチンなどが出場を決めている。各地区予選で出場権を争うが、日本は08年北京、12年ロンドン大会の出場権をアジア選手権で逃している。いずれもあと一歩のところで敗退しているだけに、選手たちのパラリンピックに懸ける思いは強い。今回も厳しい戦いが予想されるが、是が非でも悲願の初出場を決めてほしい。

 今大会は、中国、イラン、韓国、インド、マレーシア、そして日本の6カ国で総当たりの予選リーグを行い、上位2チームが決勝に駒を進める。リオのアジア枠は「2」。すなわち、決勝進出が決まった時点でパラリンピック出場決定だ。

 日本は11年にロンドン大会の出場権を懸けたアジア選手権(宮城)で、アジア随一の強さを誇る中国に敗れたものの、宿敵だった韓国に逆転勝利。迎えたイラン戦は、引き分け以上でパラリンピック出場が決まる状況だった。だが、再三のピンチをしのぎ、前半を0−0で折り返した日本は、後半に2点を奪われ惜敗。選手たちはピッチに呆然と立ち尽くした。

 その後、ガイド(敵陣ゴールの裏に立ち、味方にゴールの位置と距離や角度などを伝える)だった魚住が監督に就任。まず個々のフィジカルを鍛え、1試合を通じて走り切れる基礎体力を強化し、連戦にも耐えうる体づくりに取り組んだ。運動量のある26歳の川村怜、一昨年に日本国籍を取得した、ブラジル出身の佐々木ロベルト泉という新戦力も加わり、チームの色も変化。戦術面では、組織的な守備力を強化し、日本の良さを推し進めた。その結果、昨年10月のアジアパラ競技大会(韓国・仁川)では、初の銀メダルを獲得し、世界選手権では6位に躍進。主将の落合啓士が「誰もが海外のチームとの対戦を特別なこととは思わなくなった」と語るように、メンタル面も充実している。その落合が「北京、ロンドンまでの8年間とは充実度が違い、一点の曇りもない。リオに行けるイメージが鮮明に描けている」と話すほどだ。

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著者プロフィール

1980年生まれ。制作会社で雑誌・広報紙などを手がけた後、フリーランスの編集者兼ライターに。2003年に見たブラインドサッカーに魅了され、04年アテネパラリンピックから本格的に障害者スポーツの取材を開始。10年のウィルチェアーラグビー世界選手権(カナダ)などを取材

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