ペップとの別れを示唆するバイエルン 補強戦略で浮き彫りになった“ずれ”
リーグ制覇はもはや義務
就任3年目を迎えるグアルディオラ監督。国内2冠だけではなく、CL制覇も求められる 【写真:ロイター/アフロ】
前評判は高い。今季のバイエルンにとって、国内リーグ制覇だけでは不十分だろう。ブンデスリーガ制覇は、もはや義務と言っていい。その義務を果たしたならば、国内最多優勝記録を持つクラブは、ブンデスリーガの歴史に新たな章を記すことになる。4連覇という偉業である。バイエルンのマイスターシャーレ獲得が脅かされる姿を想像するには、相当のイマジネーションが必要だ。ドイツカップ制覇も、もちろん彼らの計画に入っている。国内2冠。バイエルンにとっては、スタンダードとなるものである。だからこそ、バイエルンには物足りない。
伝説的監督ユップ・ハインケスによって成し遂げられはしたが、グアルディオラがやって来たのはクラブに3冠をもたらすためである。「ミュンヘンでの本当のシーズンが始まるのは、来年の2月さ」。バイエルンの関係者は、そうささやいた。そう、チャンピオンズリーグ(CL)のラウンド16が争われる時期である。バイエルンとグアルディオラが求めるのは、ヨーロッパでの栄冠だ。他には何もない。
両者に利があった移籍
シュバインシュタイガー(右)の移籍はバイエルン、ユナイテッドのいずれにもメリットがあると捉えられている 【写真:ロイター/アフロ】
ブラジル人のドグラス・コスタの獲得は、「バイエルンにおけるサプライズであり、準備段階における勝者になったことさえ意味するかもしれない」。そう話すのは、ヨーロッパ最大のスポーツ新聞である『ビルト』のバイエルン担当、クリスティアン・ファルクである。「フランク・リベリのコンディションについては、内部ですでにナーバスな見方をしていることだろう」。このフランス人アタッカーは負傷しており、チーム内では大きな疑問符がつけられている。現在まで、このウインガーはチーム練習に合流できていない。
その状況で、すでに強いインパクトを残しているコスタの価値はさらに高まるだろう。実際にクラブ関係者も、予想を上回る実力だったことを認めている。ただし、留意しなければならない点がある。コスタの本当のポテンシャルを評価できるようになるのは、CL準決勝以降の場であるということだ。
シャフタール・ドネツクからのコスタの獲得がサポーターを喜ばせている一方で、彼らのお気に入りだったバスティアン・シュバインシュタイガーはマンチェスター・ユナイテッドへと去っていった。バイエルンが失った選手は、地元育ちの生え抜きであり、クラブを象徴する存在であり、世界の頂点に立った男であった。だが、理解できる決断だったと、長年バイエルンのゴールを守ったレジェンド、オリバー・カーンは月曜発売の『キッカー』で語った。互いに利のある移籍だったと、この元GKは説いている。前述のファルク記者も「純粋にスポーツ的な観点から言って、確かに両者が利益を得る状況だと言える」と首を縦に振る。「シュバインシュタイガーはユナイテッドにとっての戦力になるだろうし、ミュンヘンでは質の高い代役も出てくるはずだ」。