ロッテ清田育宏が飛躍を遂げた要因 指揮官も認めるメンタルの変化

千葉ロッテマリーンズ

キャリアハイを更新する6年目のシーズン

プロ6年目を迎えレギュラーに定着し、キャリアハイの記録を更新している清田 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

「結果を残せば残すほど、相手も警戒してくる。それを光栄に思いながら試合に臨めれば、また違う楽しみもあります」

 千葉ロッテで現在、「3番・ライト」として活躍を続けている清田育宏は、自信に満ちた表情で言った。

 NTT東日本から2009年のドラフト4位でロッテに入団した清田は、プロ1年目の10年には64試合に出場して打率2割9分をマーク。中日との日本シリーズでは全7試合にフル出場。打率3割3分3厘、1本塁打、6打点と、4度目の日本一に貢献して、優秀選手賞を獲得した。
 ところが、2年目以降は外野の選手層の厚さもあって、1軍と2軍を行ったり来たり。プロ入りから5年間、規定打席に達することができないシーズンが続いた。昨年はわずか24試合の出場にとどまり、打率1割7分に終わっている。

 6年目の今年は、これまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすシーズンとなりそうだ。

 開幕当初は控えに回ることもあったが、4月末からはスタメンに定着。5月16日の東北楽天戦では球団新記録となる4試合連続の猛打賞を達成した。
 また、5月9日の埼玉西武戦から6月9日の中日戦まで、23試合連続安打を記録。5月はロッテの選手として5人目となる月間40安打を放ち、5月28日に規定打席に到達すると、一時はパ・リーグ打撃成績のトップに立った。

 8月2日現在、全91試合のうち80試合に出場。リーグ4位の打率3割2分3厘をマークしているほか、11本塁打、46打点と、シーズン途中でキャリアハイを更新している。
「ウチは外野のレギュラー争いが激しいので、打たないと試合に出られません。まだ今年は終わっていないし、今年だけじゃなく、今年より来年、来年より再来年と自分が良くなっていかないといけない」

 清田は、そう言って表情を引き締めた。

「まわりを気にしなくなった」

今季好調を維持する要因に、周囲を過剰に意識せずに切り替えができるようになったことが挙げられる 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 清田が今年、飛躍した要因は何か? 伊東勤監督に聞くと、その表情が緩んだ。

「彼は、もともと力のある打者。今までは結果が出ないと1打席1打席、悔やんでいたみたいだけど、うまく割り切るようになった。『この打席がダメなら、次の打席』という切り替えができるようになりましたね」

 清田本人に指揮官のこの言葉を伝えると、こんな答えが返ってきた。

「そこはすごく意識していますね。打撃は10回のうち7回失敗するものじゃないですか。例えば5打席ノーヒットでも、同じ失敗をするのではなくて、違う打席にしたいんです」

 例えば、1打席目に外角のスライダーを空振りして三振した。2打席目はそのスライダーを振らないようにしたところ、内角の直球に手が出ずに見逃し三振したとする。
 この2打席は、結果は同じ三振でも、意味合いが違う。同じ球種ではなく、違う球種で打ち取られたのなら、それはそれで良し。3打席目で外のスライダーも振らず、内角の直球をファウルにすればいい。そう考えるようになったのだ。

 では、なぜこう切り替えられるようになったのか? その疑問に、清田はすがすがしい笑顔を見せた。

「まわりを気にしなくなった、ということですかね」

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