UFC JAPAN参戦の山本“KID”徳郁を直撃「同い年のメイウェザーぐらい稼ぎたい」

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今は強さと知識がちょうどいい

9.27UFC JAPANに参戦する山本“KID”徳郁。日本では3年ぶりの試合となるが、コンディションは上々とのこと 【(C)WOWOW】

「UFC JAPAN 2015」(9月27日/埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で、マット・ホーバーとの一戦が決まった、山本“KID”徳郁。前回のローマン・サラザール戦(2月28日「UFC 184」)では、2ラウンド無効試合となったものの、復調の兆しを見せた“神の子”は、はたして完全復活を遂げることができるのか!? 3年ぶりとなる日本大会出場の意気込みを聞いた。

――KIDさん、最近すごく調子が良く見えるんですけど、いかがですか?

 調子はいいっすね。調子がいいのと、ようやくこの歳になって、自分が何をやってるかわかってきたっていうか。遅いんですけど(笑)。

――自分の身体の使い方が、本当の意味でわかってきた、と。

 それまで全部、我流でやってきたから(笑)。それが悪いっちゃ悪いんだけど。K−1とかで勝ってたときは、やってることがよくわかってなかった。目ぇつぶってパンチ打っても当たってたから。

――以前は動物的な勘や、自分の感覚だけで勝てていたわけですね。

 身体能力だけでやってて勝てたんだけど、それが1回、ケガして調子が落ちて。それはケガしちゃったら、もうそこには戻れないから。ただ、ハンディキャップがあるくらいのほうが、よく考えるようになって、賢くなれる。やっぱり、この歳になったら、強さだけじゃなくて、うまさも考えないと。若い頃は、強さだけで全然いけたけど、いまは知識が増えて、ちょうどいいくらいになった。前回の試合(2月28日「UFC 184」のローマン・サラザール戦)も、(アイポークにより)途中で終わっちゃったけど、良くなってるのはわかったから。

――ケガがひとつの転機になって、スタイルが変わったわけですね。

 あとは、渡辺キックボクシングジムに通うようになったことも大きくて。前回の試合のときもずっと通ってたんですけど、それまで7〜8年行ってなかったんですよ。そして、その7〜8年っていうのは、調子が悪かった時期。でも、また行くようになったら、2カ月ぐらいで取り戻したんで、「あ、やっぱ行かなきゃダメだったんだな」って。会長さんは僕のことすべてわかってくれてるので。鬼に金棒。

――渡辺会長には、DREAMの始めの頃までは、よく見てもらってたんですよね。
 それで久しぶりに行くようになったら、会長さんも、歳は70くらいなんだけど、俺のミットをガンガン受けてくれるから。しかも、生ズネで蹴らせてくれて、全然平気。逆に俺が腹パンチとかしても効かない。超人ですよ。そういう人がいるから、俺も「38、まだガキだな」って。やっぱ70ぐらいでも、ちょっとやると、俺がボディ効かされて倒されますから。それぐらいのパンチを70ぐらいの人が持ってる。周りにも、いいベテランがいるし。俺もそうならなきゃいけない。ベテランでも、初々しいベテランがいるジムは強いと思うし。

前回の無効試合も収穫はあった

――いまも若い選手たちと同じように練習してますよね?

 はい。一応、頑張ってついていってます。

――これだけのベテランになると、若い頃との身体の違い、体力の衰えなんかも感じてきたりとか、普通はすると思うんですけど。KIDさんはどうですか?

 体力の衰えはないですけど、ただ、ガタイは一回り小さくなった。あの頃は、無理矢理体重増やさなきゃいけなかったから、筋トレ、大食いで、身体にかなり負担かけてた。やっぱり10キロ上ぐらいの相手とやらなきゃいけなかったからね。

――バンタム級でも小さいほうのKID選手が、当時はいまのライト級でやってたわけですからね。だから、胸から肩あたりの筋肉がすごかったですよ。

 その頃の練習は無駄ではなかったけど、いまはほかにやることがあるから。

――いまは年齢にあう身体を作っているわけですね。身体への気の使い方とかも変わりましたか?

 ちゃんとケアするようになりましたね。身体のケアに前よりは時間をかけてやるし、あとは食べ物に関してもそうだし。食事や身体のケアに関して、いままで「そうしておきゃ良かったな」っていうのを、いまの若い選手たちに教えてあげられたらなって。でも、聞かないっすけどね。若いヤツらは食いたいもの食って、内蔵強いから。俺もそうだったから仕方がない。やっぱ、修斗のアマチュアの頃は、カネがないから3食牛丼とか。そういうこともあったけど、ほかのものちゃんと食ってたら、もっとパフォーマンス上がってただろうし、故障することもなかっただろうから。まあ、身体で覚えたから、それを人にアドバイスできたらなって。

――じゃあ、このところは自分の身体がわかってきたことで、調子も良くなってきたわけですね。

 あとは、いまYouTubeがすげえ発達してるから、すげえ勉強になる。

――YouTubeで何を観ているんですか?

 総合じゃない、いろんな格闘技とか武術を観て。自分にない技術、発想があるから面白くて。自分に生かせるものは取り入れようとしてますね。それを試すのも面白いし。

――では、前回のサラザール戦は、いろんな「いまの自分」を試すという意味合いが強かったわけですか?

 そうっすね。だから、2ラウンドの途中で終わっちゃったけど、いろんな収穫があって、全然満足だった。相手の心が折れたのがわかったし。俺はまったく息も上がってないし、汗もそんなかかなかったけど、向こうはバテバテだったし。だから、相手を傷つけずに、平和に解決できたからいいやって(笑)。

――相手を完全に倒さずとも、自分の中では勝つことができた、と。

 目に指は入っちゃったけど、それは試合を途中でやめる理由を与えてあげたぐらいの感じだから。

――じゃあ、すぐに「次の試合」って気持ちが切り替えられましたか?

 そうっすね。だから、もっと早く試合したかったぐらいなんだけど、日本の試合があるから、それに合わせて。

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