黒田博樹が与える計り知れない「+α」 現状と今後を“元正妻”西山秀二が解説
真っ先に求められるリリーフ陣の再整備
現在は主にリリーフで起用されている4年目の左腕・戸田の先発起用を西山氏は提言する 【写真は共同】
打つ方はエルドレッドが帰ってきて、シアーホルツも形になってきて、点は取れるようになってきた。そう考えると、やっぱり投手陣を整備しないといけない。今までのように勝てそうな試合を落としているようでは、なかなか上がってこれない。でも、「カープ弱いなぁ」「なかなか勝てんなぁ」と嘆きながらでも、気付いたら首位と4.5ゲーム差ですからね。ちょっとしたことですぐに上に行けるし、そのためにも早く投手陣を整備しないといけない。
――黒田投手以外にも、前田健太とジョンソンが先発で防御率2点台。その他、福井優也、野村祐輔、大瀬良大地といった面々がそろう先発陣は充実していますが?
先発はいますよ。先発に適性のある投手は多い。一番の問題は7、8、9回の終盤3イニング。ここをどう抑えるか。この部分を確立できてない状態が開幕から続いているため、勝てるゲームをことごとく落としている。終盤にひっくり返されている。課題は明確ですよ。
――解決策はあるでしょうか?
この間、大瀬良を中継ぎで使いましたけど、抑えで使ったらいいのではと思います。逆に言うと、今のメンバーの中では大瀬良ぐらいしかいない。球も速くてハートも強いというのは……。今の中崎(翔太)では信用できない。まずは抑え。今季は抑え役をヒースにしたところから失敗しているわけですから、とにかく、その部分を固めることが浮上するための条件でしょうね。
――その辺りの整備は、監督、コーチ陣の仕事になってくると思いますが?
もちろんです。選手の能力、適性を見て、冷静に判断して、勝つために最善を尽くすのが監督、コーチの役目ですよ。ただ単に、先発は○○、セットアッパーは○○、抑えは○○って決めて、「負けたら仕方ない」っていうのはおかしい。負けたのなら、その負けた理由をしっかりと分析して次に生かさないといけない。
数字以上に大きいチームへの貢献
まずは何か手を打たないといけない。あまりにも何もせずに来てしまった。ようやく大瀬良を配置転換して立て直そうという工夫が見えたかなとは思いますけど、もっと早い段階でできることはたくさんあった。外から見ているだけでは分からない部分はありますけど、戸田(隆矢)なんかも先発で投げさせるべき投手だと思います。普通なら10ゲーム差ぐらい付いていてもおかしくないのに、交流戦では上も同じように負けてくれた。広島にとってはラッキーですよ。その分、いかに今のうちにチームを立て直しておくか。目先の1勝にこだわっているだけでは優勝できない。8月、9月にどうやって勝負するかを考えながら、8月、9月に勝負できるチームを作っていかないといけない。
――その中で今後、黒田投手に期待するピッチングというのは?
今で6勝ですから、数字的には2ケタは勝つでしょう。黒田自身は今まで通りでいい。中5日でも中6日でも、求められたマウンドでしっかりと投げること。40歳の黒田が6回、7回をきちっと投げて、1年間ローテーションで回ってくれれば、これほどありがたいことはないですよ。それに彼の場合は、数字以外の部分でのチームに対する貢献度がやっぱり大きい。若い選手からすれば、絶対に「黒田さんがこれだけ頑張っているのに、自分たちがやらないわけにはいかない」となる。調整法なども含めて、一緒に練習する中で勉強になる部分はたくさんある。チームにとって計り知れないプラスアルファがある。
――これから本格的な夏を迎えます。そして過酷な広島の夏を乗り越えなくてはなりませんが?
まぁ、広島の夏はキツいですよ(苦笑)、体力的には絶対にしんどい。でも、例えばチームとして中6日でローテを回してあげるとか、少しずらしてドーム球場で投げさせるとか、黒田に対してはその辺の配慮は必要になるでしょうね。真夏のマツダスタジアムで3週連続投げればどんな投手でもへばる。黒田には余裕を持って投げさせたい。そして黒田が投げた後の試合が大事。いかに連勝できるか。黒田が勝っても、次の日に簡単に負けてしまっているようでは勢いには乗れないですからね。とにかく、ただ単に「投げろ」「負けた」「残念」ではダメ。チームとしてやるべきこと、チームとしてできることは、まだまだたくさんありますよ。
(文:三和直樹/ベースボール・タイムズ)