巨人2軍に見る“プロ野球のリアル” 辻、和田、岡本…生き残る選手は誰だ?
1軍を目指し、ジャイアンツ球場で汗を流している若手選手たち。将来の大砲候補である岡本も競争の中で自らの力を高めている 【写真は共同】
2軍で注目の「次世代野手」
日本時間7日(現地6日)に行われた、サッカー欧州チャンピオンズリーグ決勝、ユベントスの背番号9がバルセロナ相手にゴールを決めた。レアル・マドリーの下部組織で育ち、今季からユーベの一員に。かつて打倒バルサを夢見た少年は、大人になりイタリアのクラブに移籍し、その野望に一歩近づいた。ビッグクラブのカンテラ(下部組織)から、トップチームに昇格して、レギュラーに定着できる選手はほんの一握り。多くの若者が志半ばで他チームでのプレーに活路を見いだす。プロ野球で言えば、「巨人2軍発、ジャイアンツ球場経由、他球団行き」。最近では、市川友也(北海道日本ハム)が金銭トレードでチャンスをつかみ、一岡竜司(広島)や奥村展征(東京ヤクルト)はFAの人的補償で新天地へと旅立っていった。
それでもジャイアンツ球場では、東京ドームを目指してヤングジェネレーションがしのぎを削っている。今シーズンの巨人は、横浜DeNAとの首位争いを繰り広げ、投手陣はチーム防御率2.65(7日現在)と12球団トップ。先発ローテの中心は、菅野智之と高木勇人の25歳コンビ、さらに新クローザー澤村拓一も27歳と、着々と世代交代が進んでいる。
対照的に不振にあえぐのが打撃陣だ。60試合消化時点でチーム打率2割3分8厘、チーム本塁打33。故障者が続出した序盤は、井端弘和や金城龍彦といったベテラン陣の頑張りにも助けられ、最近は1軍で大田泰示、橋本到、立岡宗一郎の1990年生まれトリオや、22歳の吉川大幾らが必死にサバイバル中。となると、彼らが不在となった2軍の注目は「次世代野手」の台頭である。
20歳・辻、目指すは「亀井の内野手版」
12年ドラフト3位の辻(最前列左)。同じポジションに坂本という大きな存在がいる中、「内野版・亀井」を目指すことが生き残りの1つの策か 【写真は共同】
絶対的存在のスペシャルワンがいるからこそ、後継者候補が伸び悩むリアル。最強の打てるキャッチャーとして阿部慎之助がバリバリだった頃も、なかなか若手捕手が育たなかった。辻は将来的には二塁手としての起用の可能性も高いだろう。複数ポジションを守れて、勝負強い打撃と時に一発を期待でき、なにげに足もあり、6番あたりにいると相手にとって怖い打者。もちろん標準クラスの守備力も併せ持つ。目指すは「亀井善行の内野手版」である。