人によって築かれるFC今治 “岡田城”に集いし精鋭たちの声
進むべきベクトルが明確な育成
U−15の渡辺監督が今治に来る前に指導していたのは浦和のジュニアユースだった 【スポーツナビ】
新たに招かれた指導者である渡辺隆正U−15監督は、「岡田さんから学びたいという想いが今治の地へと導いてくれました」と遠く離れた地へ単身赴任してきた決断を笑いながら話しつつ、「岡田さんや吉武さんをはじめ、志の高い指導者と一緒に仕事をできて、すごく充実していますよ」と語る。
渡辺監督が今治に来る前に指導していたのは、浦和レッズのジュニアユース。「別に浦和が嫌になったとか、そういうわけではないんですよ」と強調する。今治という小さなクラブだからこそある“守備範囲”の広さに苦労しながらも、「僕は子どもの指導者として、まず子どもの前に立っている僕自身が活き活きとやらないといけないと思っていて、いまは良い意味でバタバタしながら前向きにやれていて、2月に来たんですが、本当にあっという間の3カ月間でした」と手応えを話す。
育成は一日にしてならずで、何か魔法があるわけでもない。今年からリスタートした今治の育成はここからがスタートだ。練習の現場を観ていても、試行錯誤の中で各指導者が選手と向き合っているのがよく分かった。
「ご覧になっていただいたとおり、まだまだこれからの段階です」と渡辺監督は言う。畑仕事にたとえれば、いまは土を耕して良き土壌を作ろうという段階だろう。ただ、「岡田さんのような現場を熟知されている方がオーナーというのは育成にとって大きい」と渡辺監督は言う。進むべきベクトルが明確であり、Jクラブによくある“スローガンだけの育成重視”でないことが明らかだからだ。
この耕された土からどんな芽が育ち、やがて大樹となっていくのかどうか。「人は石垣、人は城」と言うが、FC今治という“岡田城”は、まさに“人”によって築かれていた。