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横山典ゴールドシップ常識外れの春の盾V
どうしたキズナ……不振原因は精神面?

3度目の正直、GI6勝目

横山典&ゴールドシップが前代未聞の向こう正面スパートで見事、天皇賞・春を制した
横山典&ゴールドシップが前代未聞の向こう正面スパートで見事、天皇賞・春を制した【スポーツナビ】

 JRA春の古馬最強決定戦、第151回GI天皇賞・春が3日、京都競馬場3200メートル芝で行われ、横山典弘騎乗の2番人気ゴールドシップ(牡6=栗東・須貝厩舎、父ステイゴールド)が優勝。1周目最後方の位置取りから2周目の向こう正面でスパートするという常識外れの戦法を繰り出し、見事に春の盾を手中にした。良馬場の勝ちタイムは3分14秒7。


 ゴールドシップは今回の勝利で通算25戦13勝(うち海外1戦0勝)、JRA・GIは歴代2位タイとなる6勝目。天皇賞・春は過去に2度敗れており、3度目の正直で伝統のビッグタイトルを勝ちとった。また、騎乗した横山典弘は1996年サクラローレル、2004年イングランディーレ以来となる同レース3勝目、09年カンパニーで制した秋を含めると、天皇賞は通算4勝目。13年秋の盾をジャスタウェイで制している須貝尚介調教師は、うれしい天皇賞・春初勝利となった。


 ゴールドシップからクビ差の2着には北村宏司騎乗の7番人気フェイムゲーム(牡5=美浦・宗像厩舎)、さらに3/4馬身差の3着には蛯名正義騎乗の10番人気カレンミロティック(セン7=栗東・平田厩舎)が入線。1番人気に支持されていた武豊騎乗のキズナ(牡5=栗東・佐々木晶厩舎)は、直線伸びず7着に敗れた。

まさかの向こう正面でスパート!

1周目スタンド前ではキズナとともに最後方を進んでいたゴールドシップだったが……
1周目スタンド前ではキズナとともに最後方を進んでいたゴールドシップだったが……【スポーツナビ】

「まあ、ひと言で言えば、彼らしいですよね。一筋縄ではいかないところが彼らしいですよ」


 横山典弘がレース後、そう語ったのはゲートの場面。なかなか入ろうとせず、結局目隠しをされてゲートインすることになったのだが、“彼らしさ”が出ていたのは何もゲートだけではない。スタートからゴールまで、伝統の淀3200メートルのすべてでゴールドシップらしさが爆発したレースだった。


「行けたら行こうと思っていたんですけど、やっぱり行けなかったですね」


 発馬こそ出遅れることはなかったが、その後のダッシュがやはりつかなかったゴールドシップ。1周目スタンド前に差しかかるころには“ポツン最後方”の位置取りだった。さあ、ここからどう仕掛けていくのか――ファンも関係者もいろいろと予測しただろうが、誰も想像すらしなかった一手を横山典は打ってきた。なんと、向こう正面の坂の上り前からステッキを振るってスパートをかけてきたのである。かつて、菊花賞では3角下りの手前からスパートするという“常識破り”の競馬で二冠目をもぎ取ったゴールドシップだが、今回の戦法はそれのさらに上を行く、いい意味での非常識さである。


 奇襲か、それとも狙いすました作戦だったのか――いや、そのどちらでもない。常識では測れないこの競馬こそが、“ゴールドシップの競馬”と言うしかないだろう。


「いつもは僕の方から馬にお願いするんですけど、今回ばかりは僕の方からゲキを飛ばしていきました。でも、手応えなんて何もない。自分が勝つような時って、ジョッキーにしか分からない感触というものがあるんですが、そういったものは一つもなかったですね」

納得Vの横山典「乗っていて面白いですよ」

「こういう馬だから面白い」と横山典、ゴール後はファンの大歓声に手を合わせて応えていた
「こういう馬だから面白い」と横山典、ゴール後はファンの大歓声に手を合わせて応えていた【スポーツナビ】

 スパートをかけた向こう正面からゴールまでは、横山典いわく「ゴールドシップと僕との戦い」。闘争心に火をつけ、その炎を絶やさないよう、横山典が何度も叱咤激励する。そして、やはりゴールドシップも一筋縄では収まってくれない。直前入口では再び脚色が怪しくなり、いったんは早め先頭に躍り出たカレンミロティックに突き放されてしまう。このあたりが、ジョッキーが話していた「手応えが一つもなかった」というところなのだろう。しかし、それでも横山典は諦めなかった。


 実はゴールドシップが天皇賞・春に出走を決めるにあたり、この横山典も一枚噛んでいたのだと言う。


「須貝先生が当初天皇賞は使わない方向だと聞いた時、『秘策があるから』と口説いたんですよ。ですから、いい結果を出さないとな、ってプレッシャーもありましたし、レースはどうしようこうしようとずっと考えていました。だから、もちろん馬もよく頑張ってくれましたし、自分としてもよく諦めなかったな、よく走らせることができたなと思いますね」


 横山典の懸命の思いに応えるように、再び火がついたゴールドシップはゴール前で猛然と盛り返し、しぶとく粘るカレンミロティックを差し切ると、返す刀で外から強襲してきたフェイムゲームの猛追を防ぎきった。


「しのいだかなとは思いましたが、勝った確信はなかったですね。勝ってればいいなと。だから、勝ったと分かったときには本当にホッとしました」


 そして、勝利と同じくらい横山典を満足させたのは、稀代のクセ馬ゴールドシップを自分の手綱で勝利に導くことができたことだ。


「やっぱり乗っていて面白いですよね。誰が乗っても勝てるのではなく、ただ追えばいいとうわけじゃない。ああいう馬でこそ自分の腕が試されるなと思いますよ。30年の騎手人生の中でいろいろと培ったもので走らせなきゃいけいない、そこが面白いです。今回は自分としても最高の形で納得できるレースができたと思います」

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